ホルモンブームについて。

和牛の供給難→米国牛、豪州牛の調達に業界が走ると、かつてのジンギスカンブームのように一過性で終わるかも。


和牛の上質なホルモンを安く食べられるからこそ、価値があるのでは???



女性がリードする「ホルモンマーケット」の行方

女性がリードする「ホルモンマーケット」の行方

今日の日テレ「ズームイン!!SUPER」で“女性のホルモンブーム”を特集していました。私もブームについての解説を求められ、少しホルモンマーケットの現状について調べてみた。



たしかに、最近の女性のホルモン人気はすごい盛り上がりを見せている。恵比寿にオープンした「ホルモンキング」 は女性一人でホルモン焼き屋に行く“ホルモンヌ”を意識した店づくり。例えば、店舗デザインは、温かみがあり気軽な雰囲気の店内は、女性一人のお客様でも入りやすいように、カウンター席がメインになっている。また、美肌づくりに欠かせないコラーゲンメニューを充実した。定番の豚足、タン塩、生ギモ(レバ)はもちろん、2 日間煮込んだテールスープ、大人気のコラーゲンよせなどは、とくにコラーゲンが豊富なメニュー。また、コラーゲン入りサワーやデザートも用意している。先日覗いてみたが、なんと客の9割は女性だった。ホルモン焼きはもう“オヤジの聖域”ではない。恵比寿では、下町から進出してきた「亀戸ホルモン」 、ラ・ブレアダイニングの「恵比寿一丁目」 などが人気店だが、いずれも女性客が入りやすい店作りとなっている。女性主導による昔「焼肉」「もつ鍋」、今「ホルモン」とでもいうべき“ポスト焼肉”“ポストもつ鍋”現象が起きているのだ。


女性にホルモン人気が広がったのは、「安いわりに栄養価が高く、美容と健康にいい」という理由。2,000~3,000円で美食を買えるという“言い訳”が女性たちの足をホルモン専門店に向けさせたのだ。たしかに、ホルモンにはビタミン、ミネラル、コラーゲンが多く含まれている。「野菜と一緒に食べれば効果は絶大」という女性が飛びつきそうなコピーも氾濫している。もつ鍋ブームの決め手となった「マルチョウ」(牛の小腸を裏返して脂身を閉じ込めた部位)だけでなく、「センマイ」「ハツ」「ハチノス」なども、部位別の栄養価が喧伝され、多く食べられるようになった。こうして、オヤジたちが愛した“煙もくもく系”のホルモン屋から、トレンドは女性が食べてキレイになるための“ホルモンヌ系”へと移り、ホルモンマーケット全体の拡大を促進している。新橋には、“ホルモンヌ御用達”の立ち食いホルモン店「闇市ジョニー」がオープンし、女性一人客がカウンターでホルモンの七輪焼きを嗜む姿が見られるという。今後も、こうしたホルモンヌターゲットの専門店が増えるのだろう。


しかし、ホルモンマーケットの拡大には課題もある。いま人気の和牛の上質なホルモンの供給量は限られているからだ。全国焼肉協会の理事に就任したエスフーズの東京支店長によると、現在和牛の屠畜(とちく)は年間120万頭、一日5,000頭だという。その5,000頭の内臓を分け合っているのが現状で、新鮮で上質な部位、丁寧に二次加工されたものとなれば、さらに量は限られるだろう。したがって、専門店の数も植えているとはいえ、焼肉店全体の1割にも満たないという。現在、焼肉店は全国で20,000~23,000店、市場規模で7,000億円。既存の焼肉店もホルモンの部位を充実する動きを強めているから、余計に専門店に回る上質のホルモンは限られる。一方、輸入肉でシェアを伸ばしているチェーン店「情熱ホルモン」 も登場。現在170店舗。昨年までは目標200店舗だったが、今年のブームをバネに「今後250店舗の展開に目標を変えた」(同社広報)と強気。かつて「牛角」が米国産輸入牛で急成長したように、「情熱ホルモン」は“ポスト牛角”になりそうな勢いだ。今後、ホルモンマーケットは、“和牛派”の少店舗型と“輸入牛派”のチェーン展開型の二つに分かれそうだ。


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