商業施設の“再生ラッシュ”に注目せよ!

商業施設の“再生ラッシュ”に注目せよ!

それは意外な光景だった。ニュースリリースもないし、まったく“ノーマーク”だった新宿野村ビルで4月28日、ダイヤモンドダイニング(DD)の新店のレセプションがあるというので行ってみたら、かなり意欲的な施設リニューアルではあったが…。



野村不動産のホームページを見ると、正確にはリリースは28日になされていた。しかしグランドオープンが30日、DDのレセプション当日である。野村不動産側に自信がないのか、“ノー勘”なのか、普通はもっと早くリリースを打つべきである。我々外食ジャーナリズムは、DDからのリリースでこの施設リニューアルを知るという結果となってしまった。同時にオープンする「BANGKOK KITCHEN」に至っては、「マスコミに一切告知しなかった」(運営会社のBKKインターナショナル代表取締役・林基行氏)という。DDの広報マインドの高さにはいつも関心させられるが、今回の野村不動産のリリースのあり方には疑問を抱かざるを得ない。


とはいえ、施設のリニューアル自体には、なかなか意欲的なものを感じた。「新宿野村ビル」は昨年、竣工30年を迎えたという。今回は、2006年5月に続く、地下1階レストランフロアの“リニューアル・フェーズⅡ”だったという。DDのスパニッシュベルジアン「BEER SIGNAL」と「BANGKOK KITCHEN」の飲食店2店を挟む場所にスタバを移転、さらにテイクアウト2店をあわせた計5店舗をのオープン。ビルの両側にアーチを配列し、LED を駆使したライティングによって、開放的で華やかなエントランスに生まれ変わっていた。実は最近、こうした古い高層ビルや歴史のある大型商業施設のリニューアルがあちこちで進んでいる。


派手な例では、4月10日にスケールアップオープンした霞が関ビル(霞ダイニング)。三井不動産が1968年に日本で初めて建設した高層ビルだ。1978年に竣工した池袋サンシャイン60も、59階にフルカラーのLEDに彩られた“天窓”を有するスカイレストランフロアがオープン、オザミグループの「AUXAMIS 59」やクルーズ・クルーズの「天空の庭 星のなる木」が出店しイメージがガラリと変わった。そして、5月23日には、開港150周年を迎える横浜市の記念事業である「マリンタワー再生」が完成、ゼットン運営による「タワーレストラン」をはじめとする“食のエンターテインメントゾーン”がオープンする。「マリンタワー」は横浜開港100周年を記念して建てられた。実に50年ぶりの大事業である。いま、古い商業施設の“再生ラッシュ”に要注目だ。それをリードするのは新興の外食企業である。


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