すずや

4月の月末30日(水)。連休の谷間。休みたいけど休めない。朝から蒲田で定例の「飲食店なび 」編集会議。サイトリニューアルの予算も確定し、最後のトッププレゼン(あの森下兄弟の前で…)を残すのみ。上場企業だから、スンナリはいかない。午後は自由が丘の「すず家 」を取材に。対応してくれたのは、オーナーの株式会社すずやの蟹江礼社長と妹さんで取締役の典子さん、そしてエグゼクティブのユキノくん。この三人の本部スタッフでいま3店舗を運営している。9年前、蟹江さんが26歳のときに母親と典子さんの家族経営で溝ノ口に「本店すずや」をオープン。翌年には、富士通の工場が近くにある武蔵中原で2号店「希酒喰肴 鈴や」をオープン、その後2店舗とも拡張増席した。そして一昨年7月満を持して、自由が丘に3店舗目の「新日本食酒場 すず家」をオープンしたのだ。コンセプトは居酒屋値段で楽しめる創作和食だが、刺身の盛り合わせもドライアイスで演出するなど(赤坂「NINJYA」みたい)、出し方がいちいち凝っている。メニューはすべて手作り、素材にひと工夫加えた楽しいものだ。スタッフの教育にも力を入れており、さりげないけど心のこもったサービスに徹しているとか。蟹江さん、来年には「恵比寿に出たいですね!」と言う。堅実に歩むクールでクレバーなサードG世代経営者だ。


すずや2


ところで、自由が丘って、いつ行っても道に迷う。下北沢と似ているけど、違うのは小マダム系が多いこと。飲食店は多いけど、みな“ウチメシ”やるから、夜は弱いんだね。この街で思い出の店といえば、石井誠二さんの「かたりべ」(「アリガット」創刊号であの犬養裕美子先生に取材してもらった…でも今はもう無いみたい)、大嶋啓介さんの「てっぺん」(大嶋さんの独立記念の店で、カシェットで初PRを担当した)、モスの「あえん」(自然食食打ち出すの早かったね。オープン時に取材で食べに行ったけど美味しくなかった)、老舗居酒屋「金田」(自由が丘在住のカメラマン、内藤けいすけさんに連れてってもらった、名店なんだね)、それから「はじめの一歩」(「飲食店なび」のまことチャンのお客さん。なぜかエムグラントの井戸夫妻が常連)ぐらいかな。そんな昔の記憶を辿りながら、やっと駅まで。次は恵比寿に出来た新しい“紅茶カフェ”で辰巳賢さんが待っている。辰巳さんは、青木さんのコスミックダイニングを卒業して、これからいろん,な食の仕掛けをやるんだとか。そろそろ動き出すんじゃないかと思っていた矢先、連絡が来たんだね。「恵比寿に凄い紅茶の店が出来たんですよ。あの栗原はるみさんの息子さんがプロデュースしたんですよ。ぜひ、取材に来てくださいよ!」。聞けば、リリースも終わっていて、前日レセプション、この日オープンなんだって。辰巳さん、フースタをなめちゃアカンよ、なんでもっと前に教えてくれないの、とかなり頭に来たけど、「栗原さんの息子さん紹介しますから…」と言われて、すごすごと行きました、ハイ。



紅茶


ハッティ

まず、先にその画期的だという紅茶の店を見に行きました。店の名は「tea espresso HATEA(ハッティ-) 」。簡単に言えば、「スタバ」と「アフタヌーンティー」のいいとこ取りです。エスプレッソマシーンを使って30秒で紅茶を淹れるスタイルで、“シアトル系カフェ”と“サロンドテ”の融合業態なんだよね。たしかにありそうでなかった画期的業態ではある。場所は恵比寿駅から駒沢通りを代官山方面に歩いてすぐ。あのオイスターバーの「米門」の跡でした(それにしてもフードスコープのリストラ旋風は凄まじいね。M&Aでも売る先を間違えたらこうなるという典型だね)。「米門」の跡だとは聞いていたので、「2階の作りが大変だろうな」と思って行ったのですが(森井さんも苦労してたからね)、なかなかうまく造作していた。でも、ちょっと内装が作りすぎかな。もっとシンプルでいいんじゃないかな、と思った。たぶん「サロンドテ」的な要素が必要だったから、内装にこだわり過ぎたんだろうね。店を見てから行きました。栗原はるみさんの息子さん、栗原心平さんが手掛けていらっしゃる「ゆとりの空間」へ。百貨店中心にすでに60店舗余り展開している“栗原はるみブランドショップ”。ここは恵比寿本店で、カフェもありました。辰巳さんから、栗原心平さんを紹介していただき「HATEA」掲載 を約束。心平さん、まだ29歳、もちろんサードGにお誘いしましたよ。ほかに、横川の有名な「峠の釜飯本舗 おぎのや」の高見澤志和専務もいらっしゃってビックリ。聞けば、辰巳さんが「峠の釜飯」のドライブンをおしゃれなフードコートにリニューアルした縁で、高見澤さんに招かれて同社のマーケティング部長になったんだとか。二度ビックリ。大手流通系の御曹司さんもいらっしゃって、なんか、レベルの高いビカピカの“二代目経営者”さんが集まっていたんだと思って、後で冷汗。キンチョーしてたんだね。それにしても辰巳さん、いい人脈つかんでますネ。サスガ!



山本

私はピカピカ系があまり得意じゃないんで、次の約束は緊張がほぐれるよ~。場所も浅草の千束に近い危ないエリア。魚の美味しい居酒屋「安楽亭」で待ってくれてたのは、新橋中心にそば屋さん(夜は美味しい魚居酒屋に変わる)を展開する「本陣房グループ 」(イクマエンタープライズ株式会社)の山本育磨社長。懐かしかったね。「アリガット」時代に講師で呼んでもらった「NITTO会」(歴史の長い外食関係者の勉強会)でお会いして以来だから、もう5~6年ぶりになる。「本陣房本店」「本陣房」「天祥庵」など直営8店舗、独立支援もしておりいま関係している店は20店舗ほどあるとか。直営はすべて黒字、開業支援店も「一年は赤字でいい。ゆっくり育てて長く続けてくれればいい」というのがポリシー。こんど、御徒町に直営9店舗目を出すので、「こうぞうさんが手伝ってくれるんなら、初めてプロモーションやろうかな」と声をかけてくれたのだ。この再会を仕掛けてくれたのは「飲食店なび」のまことチャン。彼もこれからオープン販促やPRやることになったから、“W佐藤”でやってみようかということになったんだね。大いに話が盛り上がり、「いざ吉原へ!」なんてことは絶対ありませんでした、念のため。マジに山本さんも、私と同世代だから、「これからは若手を育てたい、そば居酒屋学校やりたい」なんて話になりました。団塊世代の「そば学校」みたいな趣味の延長じゃなくて、“江戸文化の見直しと新しいそば業態”みたいな新しい切り口でなんか世の中に提案したい、そんな問題意識で意気投合したんだね。山本さん、一緒に“そばルネッサンス”仕掛けましょう!