インカス

最悪の週明け。目が覚めたら右足に違和感。関節が少し腫れている。しかも痛い。左足親指の付け根だった痛風が、ついに転移か?癌じゃあるまいし…。しかも、今日は高級中華に高級鉄板焼き、最後はA5の高級和牛ホルモン・焼肉の“高級三連荘”だよ。…どうしよう(涙)。でも、仕事だから行かなけりゃ。それに、会いたかったインカス の冨田和広社長とのアポがある。足を引きずりなら恵比寿へ。青山、中目黒、恵比寿エリア中心に「炙家 風土」「框堂」「鐵玄」などの独特の趣きのある高感度な店をつくってきた冨田さん。博報堂出身で、この業界に入ってもう15年になる。内装も自分でデザインし、食材にこだわった料理コンセプトも自分で考える。マーケティングの感性、客の心理を知り尽くしたプロデュース。FCも手掛け、いま直営は15店舗だが、地方も含め「100店舗はつくってきましたね」と語る。


1時間のインタビューだったが、彼の店づくりのツボを余すところなく聞けた。「店づくりは映画と同じ。いまは食材、料理が役者。料理にも主役と脇役が必要。内装はあくまで舞台であり、スタッフは監督。料理の魅力をどう引き出すか、だ」。今年開けた新店「鐵玄 滋養堂」(中目黒)は、宮崎牛の“一頭買い”がコンセプトだが、豚肉も馬肉も取り入れ、「女性がカジュアルに愉しく肉を食べられる店」にした。さっそく『Hanako』が飛びつき、中目黒・恵比寿特集のトップ記事にした。和牛一頭買いはいまや当たり前、それを軸としながらも、いま客が喜び、しかも食材の歩留まりを良くする料理は何か、それを追究した業態だ。



インカス

また、恵比寿のガーデンプレイス側のネオナートビル1階の小さなアネックスにオープンしたのが「KICHEN DELUXE 」。“東京洋食酒場”というコンセプト。この店舗はこれまで、カフェや居酒屋をやってきたがことごとく失敗。それを居抜きで借りて業態転換した。「スペインバルやイタリアンバールをやってみたかったんだけど、それじゃつまんないし、ランチも取りたかったから、“洋食バル”はどうか、と。それで、昼は六白黒豚を使ったハンバーグ(ツナギに宮崎和牛の余った部位)やトンテキを出し、夜はバールに変える。それで“東京洋食酒場”」。新業態はコンセプトが良くても、その通りにいかず、チグハグな店になるケースが多い。しかし、冨田さんの手にかかると、完成度の高い店に生まれ変わる。看板が自己主張してる。アイデンティティがある。インタービューのあと、すぐ店に行って、食事をしたが、なんかいい雰囲気なんだよね。洋食屋さんらしく中年の優しそうなオジサンが接客してくれるし。ハンバーグやトンテキもまずまず。つい、ビールを注文したくなったぐらい…。昼だからやめといたけど。これからも冨田さんの仕事は注目だね。「一緒に商業施設なんかやりたいですね…」と意気投合した次第でした。



鈴木潤

冨田さんからすっかり元気をもらい銀座へ。「飛雁閣」へのプレスアテンド。日本で3,000人しかいない“年間1,000万円以上の買い物”をする超富裕層ターゲットのシークレット会員誌担当者。前菜と“世界一の小龍包”だけお付き合いし、西麻布の鉄板&オセアニアワインの「OLD VINE」 へ。オーナーのウィンキューブ鈴木潤 さんから熱心なお誘いを受けてたんで、なんとか挨拶だけでもと伺いましたよ。シェフが代わり、今度は日赤通りの「ahill」の石塚雄二シェフをキャスティング、それをお披露目するためのプレスディナーだったんだけど、とてもそんな華やかな席には顔を出せる体(?)じゃないので、石塚さんを紹介してもらって失礼しました。石塚シェフ、パティシエの辻口さんみたいにゴールドに染めた髪、とてもクリエイティブな感じだね。12年間「うかい亭」で修行したんだって。銀座のベルビア館も軌道に乗ったので、本店の自分の後釜をやはり「うかい亭」から呼んで任せられるようになったんで、いよいよ新境地で羽ばたくわけ。鈴木さんは外資系出身で西麻布でバー「ZAZZLE」(モヒートが最高!)を経営、渋谷で中村悌二さんと「東京トンテキ」の業態開発も手掛けた飲食ベンチャーなんだね。金融証券から飲食に入ったまさに“次世代型”経営者。サードGに呼ばなきゃ。



牛タン


徳永さん

石塚さんの鉄板料理も食べたかったんだけど、次の「ホルモン道場 輪倶 闇市」 では和牛のフルコースをいただくことになってるからね。後ろ髪引かれたけど…。「輪倶 闇市」六本木店はすし好のところから芋洗い坂に入ったすぐの右手のビル。まだ新しい飲食店ビルの地下に入れ替えで入ったんだよね。オープンは4月18日(金)、14~16日まで関係者レセプで17日はエモリPR仕切りのプレスレセプション。徳永弘社長は約13年前に横浜からスタートし、川崎、新宿、恵比寿、池袋と直営店舗を増やし、今回は10店舗めの直営店。好立地で勝負を賭ける。仕入れ・加工を自社工場で行なってるから、肉には絶対の自信がある。まず出されたのは「牛タンの盛り合わせ」だよ。タンだけで4種類もある。びっくりだね。ここの内装、「AWキッチン」などで最近売り出し中のスワンズ・小山トシオさん。コテコテ系が多かった既存店とガラッと変わって“ベタかこっこいい”。六本木の社用族接待、合コン、同伴アフター、なんでも合うね。徳永オーナーの友人のカメラマンがキューバで撮影した“生ゲバラ”の写真なんかも、うまく飾ってあってイケテルよ(写真はその写真と徳永社長)。スミのコンロ、特殊なロースターもうまく店を演出している。六本木にありそうでなかった“使えるホンモノの和牛焼肉店”として、人気化するのは間違いない。ここから、新たな“闇市伝説”が始まるよ、きっと。デザートもパティシエがレシピをつくったオリジナル。〆には最高です。皆さん、使ってくださいね!