どれくらいの時間が過ぎていたのか、
おそらく昼間だろう。
光が届かないこの部屋は、
ここだけ、時間の流れから遮断されてるくらい、薄暗い。
まったく霊安室なんて場所に長くいるもんじゃない。
簡易的に作られた霊前に線香の煙が渦をまく。
これが現実か、
目の前にいるのは
もう人ではなく、
ただの入れ物。
今は考えない。
受け入れない。
前は見ない。
進まない。
生きることができない。
私は死へ引き込まれていた。