暗闇の奥から、
遠く、すすり泣く声が
聞こえる。
夢だったのか、
意識が少しずつはっきりするにつれ、
泣く声のボリュームが次第に上がって、
一気に飛び込んできた。
私は、ソファに横になっていた。
体は重く、視界はぼやけている。
ドアの隙間から、ぼんやりとみえる、白い布に覆われた物体。
そこには無機質な時計がゆっくりと時間を進めようとしていた。
何かの映像をスロー再生しているように、秒針は重く、進まない。
ただ泣きわめく声が、
幾重にもかさなって
木霊しているだけだった。