7月30日の中国新聞(広島市)に、
広島銀行が、民事信託商品にコンサルティングサービスを追加する
との記事をみました。
「金銭信託」と「不動産信託」の2種類を想定しているようです。
皆さんは、「民事信託」とか、「家族信託」「金銭信託」「不動産信託」のような言葉を聞いたことがあるでしょうか?
信託銀行があり、株式投資信託などの投資運用は、とても有名で、既に運用されている方がおありだと思います。
その「民事」版、「家族」版もアリだということです。
どういう時に利用するのでしょうか?
お金持ちや投資家、不動産がたくさんある人が対象なのでしょうか?
私たち人間は、誰でも死んでしまう。老いてしまう。
とすれば、誰でも関係する老後の財産管理手法の一つで、
中小企業経営者には、頭の痛い事業承継という
後継者への財産継承に応用できる手法です。
親が死んでしまった時、
「銀行が、預金を凍結してしまって、葬式代も下ろせなかった。」
という話。よく聞きますよね。
では、認知症になったときはどうでしょうか?
やはり、子供や妻といえども預金をおろすことはできませんね。
今、できている人も、窓口ではなくキャッシュカードで下ろしたり、
勝手に代理人を務めているだけではないでしょうか?
戦後の新しい民法では、「家」ではなく「個人」に権限があり、
家族といえども老親の代わりにはなれないのです。
対応策には、「成年後見制度」があり、
裁判所に申し立てをして「成年後見人」を選定する方法や
「任意後見制度」により、自らが後見人になることもできます。
しかし、これらの後見人は、老いた親の代理人であり、
相続の権利者である子や妻の都合の良い財産運用や処分を望むことはできません。
例えば、後見人は、
不動産の維持管理費がかかるため、
裁判所の同意を得てこの管理不動産を処分してしまうこともできます。
後見人への報酬もそれなりにかかります。
これが子であったら、自分の生まれた家を、親の死後は自分への相続財産になるのが確実なので、
管理に金をかけず草を自分で刈り、時には窓を開けて風を通すなど、維持管理費をかけずに自らの労を厭わず管理するでしょう。
誰でも、年老い、認知症を患う危険性はあります。
「民事信託(家族信託)」とは、
家族が、老いた親のため、家族のために、老後の在り方、財産の使い方を自分たちで考え、執行する制度です。
自分たちで考えたことを、家族といえども契約書に記し「公正証書」にして、
不動産は、「信託登記」し、
預金は、「信託預金」にして
きちんと分別管理します。
信託契約の基本形は、
「委託者」は、老いた親(契約能力があるうち、認知症を発症する前)
「受益者」も本人(老いた親)
「受託者」は、子供
「信託期間」は、親が死亡するまで
「信託期間」終了後の「残余財産の処分」も契約書に記載しますので、
遺言書の代わりにもなります。
「委託者」の配偶者を「第2受益者」に設定すれば、
配偶者+子供達への相続
という段階をワンステップ飛ばして、
配偶者をも(両親とも)死後、
残った子供達への相続へ
一気に財産処分を考えることができます。
信託財産に移しても、
受益者が親自身なので贈与税はかかりません。
この「民事信託」という方法は、
中小企業者の事業承継に応用すれば、
自社株の議決権と
配当などの受益権を
分けて考えることもできますし、
議決権を渡さないで、指図権を行使する条文を設け、
徐々に権限を移譲する方法も取れます。
法定相続してしまうと、
配偶者や全兄弟に株式の分散してしまい、
意図した後継者の統制が効かなくなってしまいます。
社長の権限が不明確になると、
従業員も、取引先も、銀行もバラバラになってしまい
業績を落とし、分割廃業してしまうことも考えられます。
生命保険の受取人を
意図した後継者にしておいて、
残余財産処分により全株式を意図する後継者に渡し、
その相続税額を保険で確保しておくことも可能です。
承継については、保険会社は保険会社の、銀行は銀行の、証券会社は証券会社の範疇にアドバイスが傾くことも懸念されます。
まだ「民事信託(家族信託)」という制度自身が、
完全に定着しているとはいえず、議論が続いている部分もあります。
自由度が高いだけにどこまで自由にしていいのか、
専門士業、税務署、法務局などと相談しながら自分の思いを残してください。