温暖化COP24は、なぜ重要なのでしょうか?なぜパリ協定の詳細ルールが必要なのでしょうか?今回は何が争点になるのでしょうか?

 

写真出典:COP24 Facebook公式アカウント

 

 

 ストックホルム環境研究所(Stockholm Environment Institute: SEI)のCleo Verkuijl研究員の解説記事がよくまとまっていたので、日本語に翻訳して、2回に分けて紹介します。今回は、2回目です。

 

 

前回の記事:温暖化COP24解説⑤:COP24はなぜ重要なのか?なぜパリ協定の詳細ルールが必要なのか?

 

Cleo Verkuijl研究員の解説記事:The Paris Agreement rulebook explained

 

 

Q3:温暖化COP24で争点となるのはどのような問題でしょうか?

A3:今回争点となっているのは、ほぼ、パリ協定交渉中にも争点となっていた問題です。これらが、少しだけかたちを変えて再浮上してきています。

 最も顕著な例が、先進国と途上国との「差異化」の問題です。

 

 

 パリ協定では、”先進国”と”途上国”と、国を2つのグループに分けて、それぞれに異なる責任を課すという、これまでのアプローチをなくしました。しかし、パリ協定下でも、各国で異なる事情を考慮することは求められています。

 

写真出典:ENB

 

 

 残されているのは、様々な国をとりまく状況をどのように認識し、同時に、どのようにすれば、すべての国が衡平に負担を分担できるか、という問題です。これは、特に、透明性に関する議論の中で問題になります。温暖化対策目標の達成に関する進捗状況をモニタリング及び報告する能力が劣っている国には、どの程度の柔軟性(猶予)が認められるべきなのでしょうか?さらに、今後も各国をとりまく状況は変わっていくわけですが、各国は、どのようにして、それを詳細ルールに十分に反映させるのでしょうか。

 

写真出典:ENB

 

 

 もう一つ、交渉を複雑にする要因は、詳細ルールの要素の多くが相互に影響し合っていることです。詳細ルールの要素とは、たとえば、行動や資金支援の透明性、パリ協定に規定されている5年ごとのグローバル・ストックテイク(世界全体での温暖化対策の進捗確認)、そして、パリ協定の義務の遵守などです。これらは、温室効果ガスの排出削減策、適応策、資金支援に関する決定と深く関連しています。温暖化COP24では、交渉官は、詳細ルール全体が機能するように、これらすべての要素を一貫した方法でまとめる必要があります。

 

写真出典:ENB

 


 詳細ルール交渉に関する最後の問題は、別の交渉トラック間、すなわち、温室効果ガスの排出削減策と適応策との間の「バランス」です。詳細ルールは、各国による温室効果ガス排出の大幅削減が可能になるような、強固なメカニズムである必要がありますが、同時に、温暖化影響を既に被っている脆弱な国が懸念しているように、適応策や資金支援策が詳細ルールにきちんと盛り込まれなければなりません。詳細ルールは、すべての国の同意を得るために、すべての国のために機能する必要があるのです。