ご相談をいただきました
身近なある人が、自分の我儘ばかり通そうとする。
どう見ても、考えても、わたしの方が正しい。
腹が立って、仕方ありません。
なんとかぎゃふんと言わせて、その人の考えを変えさせたいのです。
どうしたら、良いですか
………わかります。
すっごく、よく分かります
そして、お話をお聞きする限りでは、たしかに、ご相談者の方の方が正しい。
で。
そのお相手に対する感想も正しいとしたら……。
そのお相手をぎゃふんと言わせることは難しいし、
もし出来たとしたら、それによって生じる後の「報復」の方が怖いです……
と、お答えしました。
御相談者さまの求めている「正しさ」や、「正義」と、
相手の方の「正義」が、まったくかみ合っていないのです。
確かに、一般的な日本の社会的な正義は、ご相談者さまの「正義」だと思います。
でも、相手の方にとっての「正義」は、
自分の思いを貫き、自分の「今」が居心地良いこと。
のように思えます。
そのお相手にとっては、社会一般の正義など、ほぼ、どうでも良いのです。
少なくとも、今は。
かなり頑固で、自分の考えに囚われた方のようです。
そんな硬い心をもったお相手をぎゃふんと言わせたり、
「自分が悪かった」なんて言わせることが出来たとしたら……。
ぶるぶるぶる。
その方はきっと、あなたのことを、「許せない」と思うでしょう。
そして、そのことを長く、ひょっとすると、ずっと忘れないでしょう。
もう一つ気になること。
それは、お互いが、自分の正義とか正しさではなく、
「相手に負けたくない、勝ちたい」
という思いに支配されているのではないかと……。
そうであれば、これは泥沼化です
世の中には、理不尽なことは、沢山あります。
どう考えても、おかしいことはあります。
それで泣けてしまうとも多いでしょう。
正しさを追求してしまう性格の方には、それは悲しい現実です。
ですが、その悲しい現実をひっくり返すために、
よかれと思って戦うことで、自分を傷めつけるのは、もっと悲しいです
あるキリスト教徒の方の言葉で、有名なものがあります。
主よ、
変えられないものを受け入れる心の静けさと
変えられるものを変える勇気と
その両者を見分ける英知を我に与え給え。
変えられないものを受け入れる心の静けさと
変えられるものを変える勇気と
その両者を見分ける英知を我に与え給え。
~ラインホールド・ニーバー
God
grant me the serenity
to accept the things I cannot change,
the courage to change the things I can,
and the wisdom to distinguish the one from the other.
grant me the serenity
to accept the things I cannot change,
the courage to change the things I can,
and the wisdom to distinguish the one from the other.
- Niebuhr, Reinhold
変えていくことは、とても大事です。
素晴らしいことです。
でも、今のあなたに変えられないこともある……。
それを受け入れることも必要です。
今のあなたに出来るのか、出来ないのか。
それを見極める賢さも、ぜひ、手にしてください。
今は出来ないことを受け入れる。
あるがままに。
それは、仏教においても、とても大切な大切な教えです
まあ、どの口が言うのだ、ですが
わたしも、今、まだ、その道を歩んでいるところです
共に、学びましょう
境内の高砂百合も、もう終わりです