どうしようもなく大嫌いで

どうしようもなく大好きな人がいた。


「人として」は最低だけれど

「その人の生きている人生」は最高だった。


アタシにとって

とにかくとにかく刺激的な人だった。



アタシが大きく方向転換しようと思った時に

素敵な言葉をくれたのはその人で

それは今まで会った人達でさえ言ってくれないような言葉。


とにかくとにかくすごい人だった。


自由奔放で

いつも頭の中では「楽しい事」を考えている。


同時に「たくさんの孤独」も抱えている。


当たり前だ。

あの人の思考を理解するなんて

アタシやその辺の人間には来世でも無理だろう。


でも興味深かったから

もっと知りたい好奇心で

アタシはあの人の思考を理解しようと努力した。


きっとそれが嬉しかったのだろう。


アタシ達は微妙な距離感で近づいたけれど

最後の一歩は踏み出さなかった。


それでいい。


それが彼とアタシの心地よい距離感。


男女の距離感を上手くとれる人が好きだ。


行き着く先が「恋愛」じゃなくたっていいじゃないか。


アタシはそれでいいと今も思っている。