きのう、待ち人を待つ間、某所の某海外プチプラアパレルやさんをプラプラした。

あっちをプラプラ、こっちをプラプラ、ふ〜ん、へ〜、アクリルは嫌だなあ、

これはリュックを背負うとすぐに傷みそうだな〜、なんて思いながら・・・・

 

そして、そこそこ気に入ったシャツブラウスを「安いね〜」なんて感心しながら購入し、袋を下げ、店を出ようとしたその時

 

ピーピーピーピーピー、とけたたましい警報音が鳴る。

私の心の中の。

顔認証、顔認証だ。

 

カチッと、まちがいなく、目の前にいる男は、

 

私のいとこだった。

 

彼は超イケメンだ。私の好みではないが、彼がイケメンであることに異議を唱える者はほとんどいないんじゃなかろうか。実際、Indeed、お店の中でも

なんかやってるひとだなという、なんだかわかんないが、

そういうオーラを小さく控えめながらも放っていた。

いやむしろ、謙虚にしていても、漏れ出ていた。

 

名前を呼ぶと、一瞬驚いた顔をしていたが、

そして、自分が重すぎるリュックを背負い、その上何が入ってんだよと突っ込みたくなるくらいの手提げをぶら下げ、

一歩間違えると裸の大将秋バージョンと化していることも忘れ、

微笑む彼の姿に私はほっとした。

 

私は彼が赤ちゃんの頃から知っている。

彼に妹が生まれ、不安定な彼の母から邪険にされ、

甘えさせてもらえないからご機嫌斜めになっているところを、

わけのわかんないダンスを一緒に踊り、必死になってあやしたことを覚えている。

すっかり私に騙され、ヘラ〜っと笑って開いた口の歯並びも覚えている。

私の名前を何回教えても、まだ口がうまく使えず、

全然違う音声で呼ばれていた事も。

 

ついでに、あんまり興奮させると夜寝なくなるからいい加減にしなさいと、

怒られたことも思い出したが。

 

由あって、私は彼の妹と、もう長い事会っていない。

一歩間違えれば、彼も同じ事になっていただろう。

いや、途中までそうだったのだ。

少なくとも、私が結婚した頃見た彼は、そうだった。

彼の名前には、やや問題のある親の思想が刻まれている。

その名前を、私はまた呼ぶことができた。

だから、とってもいい名前だと思う。

 

いろいろ腹に抱えているだろうが、それは一切口に出さず、

むしろ言葉すら持たないかもしれないが、

したり顔な割に全然事態を理解していない親戚から、嫉妬とも見下しともつかない評価を受けつつ、それでもおしゃれを楽しみ、自分を大事にしてるんじゃないかって思いたいと思った。

 

「楽しんで帰ってください」

もったいないくらいのイケメンスマイルで言う彼の手元を見ると、

さっき私が買ったのと似たシャツを持っていた。

 

「あ〜、今似たやつ買った あはは」なんて言いながら、じゃあね、と別れた。

また会えてよかった、そういうシンプルな事実に、慰められた。

そう、慰められたんだな。

 

青年よ、それでいいのだ。

自分と、自分の命と、自分の体を何よりも大事にしろ、

大きな顔をして生きていけ、なんて思っちゃったよね。