僕は、信じていた。前半が終わった段階でも、信じていた。根拠はない。僕は評論家でもなければサッカーもやっていない。長年見聞きしてきて少しばかりの知識を身につけているのかもしれないが、僕はただのいちファンにすぎない。信じていたというより、願っていたといったほうが合っているのかもしれない。

 僕が首相だったならば「感動した!」とひと言労ってあげたい。まだ一戦目を終えただけなのでさすがに早すぎるか……。

 観客席には、ドーハの頃のユニホームを着たウルトラスのリーダーがいた。あの人を見るたび思う。代わりに現地で応援してくれてありがとう、と。そして、俺はなぜあのユニホームを持っていないんだ、といつも思う。これも代わりというべきか、フランスのときのキリンのビールのおまけで付いてきた青いタオルを首に巻いて応援している。そのタオルは、W杯期間中以外はトイレのタオルのローテーションに組み込まれていて未だ現役だ。僕はそのタオルを、未だJFLで現役を続けているカズ選手に重ねている。タオルは、まだピンピンしている。