ここのところずっと外食をしていないので一週間のうち6日は納豆を食べている。健康のためとかそんなんではなく、ただ単に納豆が好きだからである。

 幼少の頃、僕は親に「なっとボンズ」と言われていた。ボンズは坊主のことである。悪ガキに対し「くされボンズ」などと使ったりする方言である。ちなみにヘアスタイルはボウズではなかった。母の自作カットだった。なのでしょっちゅう泣いていた。耳周りと襟足はしょっちゅうカミソリで切られていた。もし母が風船にシェービングクリームを塗ってカミソリをあてたならば、たちまち割れたはずである。テクノカット時代はそれこそ、大体どちらか片方のもみあげに切りキズがあった。

 髪型の話ではなく、納豆の話だった。

 僕は最近、納豆のタレを使わなくなった。なっとボンズの頃のように醤油に戻ったのだ。僕が小学生の頃は納豆にタレは付属されていなかった。もしかしたらあったのかもしれないが、家で買っていた納豆には付いていなかった。のちにタレが入っている納豆も見かけたが、我が家で納豆のタレを使用することはなかった。基本、タレの付いていない少しでも安いほうの納豆を買っていたのでは、と思う。

 タレを入れるようになったのは一人暮らしを始めた大学生の頃からだ。それでも全部は入れなかった。タレと醤油のハーフ&ハーフにしていた。東京に来てからも基本はハーフ&ハーフ。だがここ10年くらいで知らぬ間にタレ100%に変わっていた。「やよい軒の納豆はなんでタレが付いてないんだ……」と嘆くまでにタレ派に変わっていたのだ。

 そんな僕が醤油派に戻ったのもやよい軒だった。僕は舞台本番中、ゲンを担いで初日に食べたものを食べ続ける。トチらぬ限り。そしてトチらないようにしているので結果的に毎朝同じものを食べてしまう。それがたまたま納豆の付いている定食だったのだ。タレが付いていないことは百も承知だった。だがなぜかその日は「あれ? こんなにうまかったっけ?」となってしまったのだ。

 醤油期、ハーフ&ハーフ期、タレ期、そしてまた醤油期と長年にわたり納豆を食べ続けているわけだが、よく飽きないものだ、と我ながら思う。最近特に。一ヶ月以上週6で食べ続けているわけだから。

 他にそういったものがあるだろうか、ご飯と味噌汁以外で……あった。ビールだ。毎日欠かさず飲んでいる。ある意味納豆よりも多くの量を摂っている。

 世間では宅飲みが流行っているという。僕も当然ながら毎日自宅で飲んでいる。これも宅飲みというのだろうか……いや、ただの晩酌だ。