英語で最初に話した外国人
私が英語で最初に話した外国人は大物でした。
リチャード・ニクソン大統領政権で国務長官だったウィリアム P. ロジャーズ夫妻です。
1969年7月下旬のことです。アポロ11号による「人類初めて月面に立つ」のあとです。
場所は、京都市の龍安寺です。
ロジャーズ夫妻は、国務長官としての公務のあと、京都市に来て、龍安寺を訪れました。
私は母親の希望で龍安寺に連れて行きました。
有名な枯山水の石庭に面した部屋で、茶会をしており、順番待ちをしてました。
男が来て「君は英語できるかい。もし、できるなら、アメリカ人夫妻にお茶の飲み方と石庭の説明をお願いしたい」と頼まれました。
その時点では、誰なのか、分からなかったので「まあ、その程度なら」と気楽に引き受けました。
その男は茶道の先生に何か、話してました。
しばらくすると、国務長官夫妻が来ました。
お付きの人が「ロジャーズ国務長官夫妻」を紹介しました。
"Mr. and Mrs. Rogers, nice to see you.
My name is Yoshiyuki Osakaya. Please call
me Yoshi. I'm freshman at Hokkaido
University. She is my mother, Kazuko."
結局、茶道の先生と弟子3人が、茶を立て、
長官夫妻、母、私の4人が客という設定になりました。
右(石庭の側)から長官、夫人、私、母の順で畳に敷かれた赤い毛せんに座りました。
4人の前に懐紙に載った和菓子と楊枝が置かれました。
夫人がどうするの?と訊きました。
"We firstly eat Japanese traditional cake,
then drink tea. Please follow me. It's not
so difficult, I think."
やや平べったい楊枝で、和菓子を二つに切りました。そして、楊枝で一つずつ食べました。
長官夫妻はちらちら私の方を見て同じようにしました。
茶碗が置かれました。
手に取ったあと、90度回して、3回に分けて飲みました。
そのあと、茶碗を置く前に茶碗を少し傾けて見るふりをして、毛せんに置きました。
長官夫妻は、この過程も私を時々見ながら同様にしてくれました。
茶会(Tea ceremony)のあと、石庭に面した廊下に座りました。
今度は右から私、長官、夫人、母の順です。
石庭の説明です。
"Stone garden consists of white sand, traces and stones. White sand means ocean, traces by bamboo broom mean waves and stones mean islands."
長官から石庭を見て何かするのか、という主旨のことを訊かれました。
"We usually image or remember something."
具体的には?と言われたので補足しました。
"Anything, ok. For example, image the
Pacific Ocean and Hawai Islands.
For example, remember your school days. We usually enjoy short silent time."
少しの時間、石庭を見て、立ち上がりました。
長官からは、分かりやすい説明だったと褒められました。
握手を求められたので、長官、次に夫人と握手しました。
サンキューと言われたので、
"You're welcome, Sir."
と言いました。
石庭に面した廊下で、夫妻をお茶の先生方と一緒にお見送りしました。
龍安寺の石庭。廊下(縁側)の右手が茶会をした部屋です。廊下の中央部に座って、石庭の説明をしました。
米国国務長官
Secretary of State of the United States of
America
ウィリアム P. ロジャーズ
William Pierce Rogers
リチャード M. ニクソン
Richard Milhous Nixon
