遡ること2年前。砂の敷き詰められたショールーム。浮遊感のあるラック。レディオヘッド。共通の話題はJanfamily。カトカのファーストインプレッションは、取り留めのない日常のワンシーンでありながらも確かに記憶の片隅にある心象として残っている。詩的なブランドステートメントとは裏腹に気さくで親しみやすいシキさんとヤスナミくんの二人との出会いは小気味いいギャップとして記憶している。それから程よい距離感を保ちながらたまに遊んだり、遊びに来てもらったりしながら、今では友人とも先輩とも言える親しい関係性だと思う。








SOFT FRAME PANTSは、カトカのそんなファーストインプレッションの中で僕が手に取った思い出の一着。カトカのシグネチャーでありながら、ポケットの形が変わったり、ベルトループがついたり、カトカのコレクションムードによって変幻自在なアップデートを繰り返すユニークなアイテム。

パターンメイクを担うヤスナミくんが学生時代に影響を受けたギャレス・ケイシーを彷彿とさせる包み込むような構築的なカーブカッティング、パイル地の通年着用可能でタフなスウェットボディ。会うたびに二人のどちらかは着ているこのパンツは、見るたびに裾がやれていてサンフェードが進行している。

二人が愛用するパンツの表情からは、彼らのアトリエに本が置かれていたラフ・シモンズ的なユースムードと退廃的なパティナを感じる。

クタクタになるまで履きこむことで、その日々を追体験できるような、そんなパンツだと思う。


シキさん私物。渋すぎる。


洋服を見た時、その作り手の顔を想像することがある。FOMEで取り扱っているブランドは、デザイナーとの距離が近い分、洋服から作り手の性格や習慣が垣間見えるような瞬間がある。その人にしかない目線やマスとはズレた習慣から生まれるユニークなアイディアは、フィジカルに根差したその人にとっての嘘偽りない必要性が宿っているのだと思う。

二人がつくる洋服は、どこかちぐはぐで、それでも肉迫する必然性を感じる。アートに造詣の深いシキさんは、日常の些細な気づきを増幅したムードからコレクションを決定し、ヤスナミくんはそのアブストラクトな輪郭を型紙に起こす。シキさんはコレクション毎に”やる”という動詞をよく使うのだが、そこには彼女のありふれた日常を拡張して、カトカというフィルターを通してキュレーションするような、ある種の能動性が垣間見える。

言語的コミュニケーションを超えた彼らの協業は、紛れもなく二人にしかできないものづくりのプロセスであると思う。






年始から店頭にモッズコートを並べて置いていましたが、紹介する前に旅立って行きました。フィジカルの経験でものづくりをする二人の服は、実際に触れることでしか体験できない空気感があります。気になる方は店頭に履きに来てもらうのがお勧めです。


永田