今日は吉井宇希の舞台初日でした。

北千住駅前丸井10階「シアター1010 ※ミニシアター」でやってますので

お時間あれば是非。

簡素な舞台ですが・・・

赤いカツラにピエロみたいな鼻を付けた吉井が観られます(笑)


さて、Twitterで後輩のディレクターとやりとりしていて

少し思い出したので書いてみます。


古い話で恐縮ですが…

小生は今から25年前、大学を中退して今の職業を始めました。

学生アルバイトのADから初めてフリーランスのADとして担当した番組は

テレビ朝日「クイズ ヒントでピント」という番組。

土居まさるさんという方が司会の

「16分割」という難問のコーナーが有名な人気番組でした。


その番組のチーフ作家にFさん。

各局でクイズ番組が全盛期だったこともあり、このFさんは

もの凄い売れっ子巨匠作家だったんです。

Fさんは「W」という放送作家事務所の社長でもありました。


ADは会議中、ホワイトボードに議事録を書くという仕事があり

小生も板書をしました。

…小生は意外に字がキレイで(笑)しかも漢字が好き(笑)なんですね


Fさんが「お前、よく漢字知ってんなぁ…ウチの会社入れよ!」

そんな理由でFさんの会社に所属が決まりました。

嘘のようなホントの話です。理由はそれだけなんですよ。


途中2年ほど(タレント高田純次さんの会社に所属してた時代)

Fさんの会社を抜け、元気が出るテレビなどのADをしましたが

それにしても独立して今の会社を作るまでの20年ほどお世話になったのです。


Fさんはその昔、超コワモテで有名な人でした。

ただ、小生が所属した頃、Fさんの幼いひとり娘が難病を患っており

その子の莫大な治療費を稼ぐ為、鬼のような形相で不眠不休で働き

クリスチャンにご夫婦で改宗までなさったのですが…

結果、治療の甲斐なく他界してしまったのです。

事情を知らない人には仕事に厳しい鬼に見えたでしょう。

頑張らない人には確かに厳しかったので…

きっと、幼い娘さんが苦しんで病気と戦ったのに

健康な奴が人生と戦わない事が許せなかったはずです。


小生は、なぜだか気に入って頂き…

(小生だけがADであり、他が全員放送作家だったからです)

事務所の作家連中に関する愚痴も

飲みに誘っては小生だけにこぼしてました。


さて・・・

以前書いた記事「たまたま此処にいる」に登場する社長がFさんなのだが…

その記事にあるように色々な方の援助で

小生はディレクターから若くして「演出」になった。


また、生意気盛りの20代の小生は記事とは別の番組で

スタジオ収録中にサブに怒鳴りこんで来たFさんに向かって

「作家が収録中に演出に向かってガタガタ言うんじゃねぇ!すっ込んでろ!」

そう怒鳴り返した事もある。

15歳も上の大御所作家、そして会社の社長にだ。

その時も終わって詫びに行った小生に

「お前の言う事ももっともだ」

そう言って笑った。


事ある毎に恩人に喰ってかかった。


きっと小生はビビってたんだと思う。

認めてもらいたかったんだと思う。

恥ずかしいな。


30も半ばの頃、ある特番を一緒にやった。

その頃はもう会議で喰ってかかる事もなくなり…

放送を迎えた。

次の日、局でFさんと会って

「お前、あの演出を会議で黙っていたな…号泣しちゃったよ。ずるいぞ」

そう言われた。


この瞬間、この人と分かり合えた、認めてもらえた…

今でも忘れられない会話である。



それから5年後、独立する事を報告。

ひとことも文句を言う事なく

送り出して下さった。


一昨年、独立後初めて二人きりで酒を飲んだ時、

「俺も、お前も社長同士だ。大変だろうが頑張れよ。

 俺を作家で使えとは言わんが、たまにはウチの事務所の作家使ってくれよ」

そう言って笑った。



4日後、Fさんは還暦を迎えるそうだ。


何か贈ろう。


親父さんに。


照れるけど(笑)