スポーツ中継に関わる事が多い。

スポーツ中継にいわゆる放送作家や小生のような外部プロダクションの

総合演出なんて本来不要である。

実際、総合演出やチーフディレクターを局の社員さんが

担当するほうが圧倒的に多い。

当然取材されるアスリートも

どこの馬の骨かわからん聞いた事のない会社のディレクターより

キー局のスポーツ局社員の名刺を持った人の方が信用できるのは明々白々。


有難いことにいくつかのスポーツ中継に関わらせて頂く時に

何を小生に求めているか…

「数字」だ。

しかし今朝、会議で「数字」を度外視した発言をした。

作家のKちゃんにたしなめられた。

「そういう考え方はINUIさんじゃない。」

往々にして長い間、あるスポーツのジャンル(今回は卓球だが)に関わると

愛情も生まれるし(元々は卓球に興味ナシ)

冷静に「数字至上主義」を進めなくなっている自分がいる。

いかんなぁ……

スポーツの中継に演出論を取り入れていく…

端的に表すなら、それはNHKのやりかたと民放との違いである。

選手の紹介のVTR(煽りV)を使うのは民放だけ…

NHKは極力試合を坦々と放送する。

興味の無い人に無理やり興味を持たせるやり方をしない。

我々は興味を持ってもらうために演出する…

そのスポーツが好きで、興味があるならNHKの中継が一番見やすいだろう。

現にサッカーのW杯を小生はBSのNHKで観る。

決して民放の地上波は見ない(笑)


そもそも…卓球というスポーツを唯一放送していた地上波はNHK。

オリンピックを除くと「全日本選手権」だけだった。

テレビ東京が「世界選手権」の放映権を獲得し

その総合演出の依頼を小生に頂いたのだ。

誰も見たことのない民放での卓球の中継。


この3年、必死で卓球の中継を見てもらい数字を獲る事に苦心してきた。

世の中に卓球中継が「楽しい」と思ってもらう努力をしてきた。

それはある種の「割り切り」でのみ成立する。


今年、少し…「割り切り」に伴う「傷」を減らす考えをしようとした。

要らない「優しさ」とも言う。


我々は、数字を獲れなくなったら呼ばれなくなり…仕事を干される。

常に数字を獲りに行く。

ナイーブな考えは一切排除する。

それが小生の…存在意義であり…存在の許される理由だからだ。

ナイーブであったが故の数字的な失敗は

必ず後悔する。

だから…時として小生は暴君と化すのである。


作家Kちゃんは小生がナイーブな事を言ったのを意外に思ったのだろう。

小生にとって非常に愛情のある「ソフト」となった卓球。

スポーツ中継のあり方としては優しさがある、純粋な方法を少しだけ考えてしまった。

それは…自分の存在意義を脅かす事。


いかんなぁ…時々…ナイーブになる自分がいる。


それで何度も何度も失敗して

仕事が無くなったのを経験しているのに…

あるブロガーの方には「鬼」と紹介して頂いているのに

ジレンマを抱え、「鬼」に成りきれずにいるのでは情けない。


今日、数字を獲りに行くと決心したので

結果的には成功か失敗か分かりませんが

「世界卓球2009 横浜」は暴君として爆走します。