2006年秋…

DOORSの成功を受け、TBSのスポーツ局でも

大型の特番ができないだろうかという事で

スポーツ局Tさん、制作会社D社のKプロデューサーと有名作家、

演出家Sさん、小生らによる秘密裡の企画会議が行われていた。


仮に企画名を「トンネル」とするが…

その概要は「ルパン三世」だった(笑)

小生のブログのプロフィール画像が「ルパン三世」なのは

この時、「トンネル」企画書に載せる為に用意した画像である。


企画書は通らず流れてしまったが…大変面白い企画なので

いつか是非他局でやってみたいと思う。


また、「トンネル」とは別にKプロデューサーと

小生で提出していたスポーツ特番の企画書があり、これも結局

「TBSではやらない」という結果が出た。

このスポーツ特番企画も大変面白い内容だったので

企画書自体を引き上げて他局へプレゼンする許可をもらった。


そして…これをテレビ東京に持って行った。

「面白い。やりましょう!」という二つ返事だった。

当然、Kプロデューサーと作った企画なのでD社とFOLCOM.が

共同で制作する事にした。


しかし大きな問題がある…

KプロデューサーはD社の人間ではあるのだが

実はTBSの局員である。

D社自体、TBSの資本が入った「子会社」的な制作会社だ。

勿論、そうは言っても制作会社であるから他局の仕事はする。

但し、ゴールデンタイムを除いて…


小生とKで作った企画は年末のゴールデンタイムの特番である。

KはD社に掛け合って、この仕事を小生とやる事にしてくれた。


何故か…


小生とKとの付き合いは10年になる。

10年前、TBSの制作局からスポーツ局へKは異動になった。

そして小生がやっていたチームへ配属されたのだ。

しかし制作局時代のKの評判はとても良いものとは言えず…

あるタレントさんは

「Kちゃんが来たんだって…あれはデキが悪いよ」と言っていた。


確かに初担当したコーナーの出来はヒドイものだった(笑)

番組司会のFさんも

「とても放送できるレベルじゃないな…」と爆笑していた。


それから10年経ったある時、Kは小生に言った。

「INUIさんだけが認めてくれてたんですよ。

 あの頃、みんな僕の事をできないヤツと思っていた。

 …覚えてます?

 編集所のロビーで制作局時代の先輩がたまたま通りかかって

 その先輩はINUIさんと何故か顔見知りだったんですよね。

 先輩はINUIさんに…出来の悪いKが番組に来ちゃって大変でしょ?

 って言ったんです。

 そしたらINUIさんは…

 僕はKを優秀だと思っていますよ。きっと才能があると思います。

 …そう言ってくれたんですよ。」


失礼な話だが、小生にはこの事が全く記憶に無い。


事実、その後のKは超人気新コーナーを立ち上げて

番組のエースとなった。

そして有名スポーツドキュメンタリー番組の演出となり

現在、TBSのドキュメンタリー番組では第一人者である。


2006年、テレビ東京の年末特番…

Kはプロデューサーとして次々と超大物スポーツ選手を

キャスティングしてみせた。

しかしそれはTBSの社員であるKが、

自社の為に選手達と長い時間かけて培った信頼関係が

実現させたのである。

他局の為にその信頼関係を利用する…

ルール違反だろう。


※実際この事を問題視する向きもあったらしい。
そして、現在D社は他局の仕事を一切しなくなった。


Kは我々の会社に仕事が無い事をとても心配してくれて

いつも声をかけてくれていた。

企画会議にいつも呼んでくれていた。


今回のテレビ東京の企画も勿論、仕事が無かった時に

Kが一緒に考えようと言ってくれたものだった。



そしてKがキャスティングし、御出演頂いたスーパースターのひとりが

その年UEFAチャンピオンズリーグで大旋風を巻き起こした

セルティック中村俊輔選手。




2006年12月24日 スコットランド グラスゴー

小生は中村俊輔選手のロケを控え、市内のホテルにいた。

深夜、日本にいるKから電話がかかってきた。

「INUIさん…落ち着いて聞いて下さい」

「どうした?なんかあったのか」

「TBSのゴールデンタイムで…僕たちの…

 春からの新レギュラー番組が決まった。」

「!?…どの企画だ?」

「ゲームアトラクション番組ですよ。」

「え?本当か…?」

「良かったね…INUIさんとまたレギュラーができるね。」

「ああ…なぁK、ありがとう。」

「僕も明日、スコットランドに出発します。詳しい話はそっちに

 合流してからにしましょう。」

「うん、気を付けてな…こっちは零下15度だぜ(笑)」



グラスゴーの町はクリスマスのイルミネーションで綺麗だった。

市内の中心にある仮設の屋外スケートリンク、移動遊園地…

そして古いヨーロッパの歴史ある街らしく雄々しく荘厳な風情。

Kの電話で一生忘れられない景色になった。


町はずれの安い小さなホテルでひとり、小生はビールで乾杯した。



「メリークリスマスってか…へへ」