これが初年度のDOORS2005のセットの一部である。
DOORS2005

細かくて分かりにくいが…


春、TBSの会議室にて会議が続いていた。

まず、世界観をどうするか…

「巨大遊園地」を作ろうという大テーマが決まった。それも一夜限りの…

TBSには現在も人気番組である「東京フレンドパーク」、古くは「風雲たけし城」

そして「筋肉番付シリーズ」がある。

謂わば「アトラクション番組」はお家芸である。

TBSのテレビ放送50周年記念なら、それらの究極の集大成を作ろう…

それがテーマになった。


ディズニーランドのように様々な「ゾーン(ディズニーランドではランド)」が

複数あり、そこにはそれぞれのテーマにあったアトラクションがある。

広大なスペースに点在するアトラクションは「火山」を取り囲むように作られる。


総合演出のKさんがイラストを描き、全員のイメージがまとまった。


そして収録場所は「幕張メッセ」に決まった。

幕張メッセの下見に行った際「展示場2ホールをぶち抜きで使わないと

この番組のセットは入らない…」と小生は言った。

Uプロデューサー、Kさんは小生が何をしでかそうとしているのか

想像できなかったらしく「そんなに広く必要ですかね?」と不思議そうだった。


司会はナインティナインのお二人、そして日テレを辞めてフリーになったばかりの

福澤 朗さんの他局初仕事となった。

さらにゲストとして和田アキ子さん、泉ピン子さんを始めベテラン、若手含めて

TBSの人気番組出演者が勢揃いする事になっていた。


さて、ゲームである。

小生が9年やっていた所謂「筋肉系」のアトラクションは和田さん、ピン子さんが

全くできない。

さりとて「東京フレンドパークスペシャル」では無いのだから

アーケードゲーム的なモノを作ってやるわけにもいかない…


我々の合言葉は「アッコ、ピン子ができて、若手でも失敗するゲーム!」となった。


体力を問わず、タイミング、集中力、恐怖心の克服…で達成できるモノ。


…………いったいどんなゲームだ…????


4月末、第一回のシミュレーションが緑山スタジオにて行われ

全部で7つのアトラクションをテストしたが全滅。

恐らく1000万を超える金が軽く吹っ飛んだ。


ゲーム会議でなんとなくKさんが押したモノをやってみたのだが、

そもそも小生が考える「DOORSのアトラクション」はこの7つには無かった。


つまりこうだ。

頭でイメージして面白そうなゲームを、実際やってみたらつまらない。

よくある事だった。

総合演出と小生の間にあるアトラクションイメージの統一。

これが無ければツートップで超大型特番を作れない。

「船頭多くして船、山に…」という事にならないようにする必要があった。


小生がイメージしていたモノは…

「既視感・手触り感・達成感」だった。



例えばこうだ…現在DOORSの最終アトラクションとなっている「ひゅーすぽん」

重さ1kg,直径6cmの鉄球を15mの高さから落とし

直径13cmの穴に入れるゲーム。


これは小生の中学時代の遊びにヒントがある。

3階の校舎の窓から下を見ると花壇で花の手入れをする校長先生がいた。

小生は窓からツバを落とし、校長のハゲ頭に命中させようと思いついた。

自分の落したツバが「ス~~~~ッ」と落下していく様。

外れてもう一度微調整する…そして「コラ~~~~ッ!!!」という声。

ガッツポーズする不良中学生の小生…達成感。



25年を経て、そのゲームは「ひゅーすぽん」として番組の名物となった。

ツバを落とすような下品な事は小生だけとしても(笑…笑い事じゃない)

高い所からモノを落とした時の様は誰もが実感できる事だろう。


「DOORS」とはそういうモノの集合体である。


後発の新アトラクション番組。それも1回だけの特番。

定着を期待できないから、誰もが説明されなくてもルールを理解できる事。

これが必要な事だと思った。


しかし、UプロデューサーもKさんもどれ位信じていただろう。

初めて一緒の仕事をするのに全幅の信頼を置くはずもないから…

「そんなにシンプルなのかよ!」と思った事だろう。

実際、オンエア時に友人の放送作家から「球を落とすだけってのは無いだろ!」と

沢山のメールを貰った(笑)


小生も正直…ビビっていましたから。


この番組が失敗に終われば…TBS出入り禁止は免れませんからね。

だって数億円も使って、50周年特番を失敗させた会社になるんですから。


5月。小生はプレッシャーから完全にノイローゼになっていた。