岩手地震で被害に遭われた皆様に心より御見舞申し上げます


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凍りついた忘年会。

社長を辞めて会社も辞めようと思った。


副社長F、取締役のTの言う事ももっともなのだ。

小生達より先に4年前に起業したTさんの制作会社B。

孫請けで番組を発注され、ロケも済んで編集に入ったところで番組が飛んだ。

多額の借金を背負い1年間苦しんだそうだ。

我々が起業する時、親身になって相談に乗ってくれ、

副社長のFは色々アドバイスを受けていた。


資本金が少額なのに加えて自社の口座には金が無い。

そんな会社がリスクを負うのはかなり危険である。

しかも、予算ギリギリまでクオリティを追求する小生のやり方では儲けが出ない。


制作会社としては全予算の2割~3割は儲けとして残すのが当然。

その為にはある程度のクオリティ低下は已むを得ないという考え方が正しい。


しかし…

実績の無い会社ができる事とはなんだろう…

儲け度外視で出来うる限りのクオリティで作品を作り、

「あの会社を使うとクオリティ高いよ…」という噂を作るしかないのではなかろうか

いつか「今回は儲けていいから!」と言われる日が来るまで…


会社に「儲け」を生む…社長の義務だ。

そういう意味で今回のやり方では失格である。

でも、今はその時ではない。今は評判を作り「育てる」時期ではないだろうか。


副社長Fは年末特番を某制作会社から頼まれ3か月拘束の後、ギャラは30万円だった。

ひと月…10万円である…それが孫請け派遣の実体である。


いずれにしても厳しい現実なら…

自分達の企画で楽しい事をやった方がいいのではないかと小生は思っていた。


しかしF、Tの言うリスクヘッジの考え方は正しい。

腹が立った訳でなく社の方針の違いだから小生は辞職を申し出たのだ。




その時、黙っていた若手の社員Uが口を開いた。

「僕は………社長の考えに…賛成…です…すみません。」

そして若手全員が

「みんなでやった方が…楽しいです…会社の為に頑張りますから…。」


会議の時もひとことも言葉を発しない若い奴らが、発言した。

自分の意見を言った。

驚いた。

ものすごく驚いた。

そして…感謝した。



結局4対2で小生の方針が採用された。



その年末、小生は更に1本特番の演出を頼まれ無事オンエアを迎えた。


波乱の2004年が終わった。


そして2005年 初春

副社長FとTは寒川神社からお札をいただき、事務所に飾った。

1月は全く仕事が無かった…

長期のお正月休みとなってしまっていた。


そして2月…ある作家さんから電話が来た。

「助けてくれないか?」

更なる激動の年が幕を開けようとしていた。


手漕ぎのゴムボートは大荒れの海へ乗組員一丸となって向かう事になる。