小生は田舎育ちである

いわゆる都会から、小学5年生の時に引っ越した

以降、岐阜の新興住宅地で過ごした

山を切り拓いて作った住宅地を囲む自然は

タヌキが出て、クワガタが木に群がり、

学校の先生は農繁期になると田植の手伝いの為に休み、沢にはホタルが舞い、

川でニジマス・ヤマメ・ハヤが釣れ…

同級生は土砂崩れで家が無くなってしまう…

都会から来た少年には刺激的な場所だった



引っ越して最初の夏の日、田舎道を親父の運転する車で走っていた

窓から入ってきた濃密な匂い

男の子なら分かると思うが…クワガタやカブトムシの匂いだ

なんだろう? クヌギの木の樹液だろうか、腐葉土のカビくさい匂いと混じり

独特の濃い匂いがして車を止めてもらった

森の中に入って匂いのする方へ…



ホラいた。



スズメバチとアオスジアゲハに混じってノコギリクワガタだ…

手にクワガタを数匹持って車に戻ると親父は驚いていた。

親父は北海道育ちだからその匂いが分からないらしいのだ



昨年の夏、田舎に戻った際、確かその辺りだったと思う道を通った

なんの匂いもしなかった

車を降りて森の中に入ってみた…

何も匂わない…

ここは?と思う場所を何箇所か車で回っては森の中へ…

何処にも…匂いは無くなっていた…

気のせいかクヌギの木は白っぽく…生気が無かった…全ての木が…


どこに行ってしまったのだろう

あの夏の蒸れて濃厚で秘密めいた森の匂いは…


当然、樹液が滲みて黒く光る樹皮もなく…

どうしたんだろう…?


現在、小生の田舎はよくある地方都市の風景となっている

ほとんど車の姿がない山間を走る有料道路、県道沿いには大型スーパー、

大型薬局の広い駐車場、ハンバーグまであるのに茹で上げを謳うパスタ屋…

街の外れにはラブホテル…


それでも、あの森とは離れているんですよ



でも何かが変わったんだろう、何かが…

ホタルもニジマスもいなくなったのだろう


以前、NHKのロケで宮城県の気仙沼の牡蠣を取材した事がある

山に木を植える事により海を甦らせる活動をしている有名な方の取材だった

初めて牡蠣のイカダから引き揚げたばかりの牡蠣を食べた

美味かった!



小生の田舎の森はきっと死んだのだろう

日本のどこかにはまだクワガタの匂いのする森があるのかな

クワガタの匂いのする森がある所の皆さんが羨ましいです

これから赤坂で会議