最近は通勤時の自転車を見てもその台数の爆発的増加に驚きます。
それにともなって女性の自転車乗りも本当に増えた。
通勤時の都内や箱根なんぞメジャーなところのツーリングならともかく、
中学生がダッシュ連しているようなかなりマイナー坂をガリガリ登板とか・・・
最近は普通に居る。 っていうか居た。
私は心を無にしてその後を着いて行くことにした。
この先に進めば大野山という道で背中を捉えた。 私は心のなかでガッツポーズをした。
何故なら大野山は行って来いの一本道。
沢山の分岐がある道で彼女たちが選択する道をその通りストーキングすれば
そのうち気付かれて絶対変な空気になる。
しかし一本道なら言わば同行者である。 不自然ではない。
そうなれば、私にとって大事なことは堂々としていること。
そう思うと気が楽になった。
チラチラ後ろを見て、「なにこの人?」 的空気が流れつつあったけど、
その流れを変えるには抜かしざま 「こんにちはー 」 ってで爽やかに挨拶するしかない。
トーンを変えながら小声で何度か 「こんにちは-」の練習をしながら距離を詰める。
抜かす瞬間。 「こんにちはー」 言えた。
追い抜いた後もあくまでも途中激坂を撮影する風を装って、
アジサイの影に隠れて、彼女たちが来るタイミングで突然道に出てみたりして、
視界の効かない霧の中からいきなり現れるようにして、自分という存在をアピールした。
もう昼時になっていた。
女性にとってキャッチーな言葉は何か?さがした。
ふと「森のきのこ」 って言葉が浮かんだ。
声をかけるのは下山のこの瞬間しか無い。
「この辺りには食事処はあまりないわけで、森のきのこハンバーグとかどうですかねえ?」
ドップラー効果が心配だったけど抜かしざまにこの長台詞。
言えた。
奇跡だった。
気づけば足柄パーキングエリアの洋食屋のテーブルを皆で囲んでいた。
ストーカーの様な立場から一転、
まるで、一緒に走ってきた同士のように森のきのこのハンバーグを囲んだ。
いや、実際にはオムライスを選択した者もいて 「森のきのこ」 は重要ではなかったのだが・・・。
会話の中で 「お茶」なんて言葉が出てくれば、
「この近くに和菓子のcafeがあるで~」 などといって
元から一緒に行動していた一員のような風情で案内する
私はとらやの和菓子に冷抹茶。
ここでも皆好きなものを注文し、また元から一緒に走っていた同士のようにテーブルを囲んだ。
いや、少なくとも私的には端から一緒に走っていたのだから問題はなかろう。
あっちはガールズトークもままならず災難だったかもしれんが、こっちはいいツーリングだった。