お腹がへったら漕ぐ日記

 
 
 
 

 

全く私は手に負えない、気むずかしい恋人をもったものである 』 写真家、岡田紅陽の言葉である

 

富士山を富士子と呼び終生愛し、彼の写真は1000円、5000円札裏面の富士山デザインの元となった

 
 

 

 

 

私にとっても紅陽の言葉は全くその通りだなあ ・・・・ と実感するばかりである

   

ずっと見えていた筈の富士が、山を越え近くまできたら既に雲の中と言う憂き目には何度もあっているのだから

  

 
 
 

   

でもこの日は、気むずかしいはずの富士子のことが想像が出来た。

 

夜中の三時に家を出、山梨に入れば低く雲が立ちこめガックリしたのだけれど、

 

更に上をみれば月が煌々と輝いていた。

 

  

 



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月と雲海 

  

 

 

 

雲は低くその上は晴れ ・・・・ こんな日は間違いなく雲海に突き出た富士子をみられるに違いない。

 

只、雲海という奴は朝の早い時間にしか見られない ・・・・ 

 

と言うことは Bike & Hike などと予定通り下から自転車で大弛峠までヒルクライムとかしてる場合じゃない。

  

イイ景色に出会いたいといういつものコンセプトの前には自転車で登るという選択はあっさり消えてしまった 
 

  

 

 

 

苦もなくAM5:30 乙女湖を過ぎた辺りで左手にパノラマが開けた 

 

雲海と月 ・・・・ 思い描いた通りのこの景色に出くわし、これはまさしく正解だったと私は確信した



 

 

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大 弛 峠

 

 

 

清廉な空気 ・・・・・ 午前6時ジャストの大弛峠、気温は12℃である

 

峠近辺は既に駐車車両で埋め尽くされ、無数のテントが並んで皆さん登山に備えていた

 

なんと午前6時の時点で既に大弛小屋は営業している。

 
 

 

 

楽をして大弛峠まで来たからと言う訳じゃないが、


前回は国師ヶ岳の手前富士が見えるところまでハイクしたし、少しロングコースの金峰山へ向かった

  

 

 

 

 

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5時頃登り始めた太陽は見る見る高度を上げ、木々のすき間を横から矢のように突き刺してきた

  

高度2400mの空気は果てしない透明感で、林の中の明暗のコントラストの強さに幻惑する程である 

 

 
 

 

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殆ど視界がきかない一面の林の中を30分程歩いただろうか?

 

木々の間隔がにわかに開け、その間に低くたなびく雲海からスクッと立ち上がる富士が姿をあらわした

 



 

 

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こんな事が今まであっただろうか?

 

『今日はきっと雲海から突き出た富士が見える』 と予想したままの富士子が姿をあらわすなんて

 

いつもの気むずかしくて天の邪鬼な富士子らしからぬ姿に暫く呆然と見とれていた

 

 

 

 
 

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最初の富士からは、また薄暗い木立の中を30分程進んだだろうか? いきなり視界が開ける岩場に出た

 

そこからは何隔てるもののない富士山から南アルプスの山々まで手に取るように見える

 

こういう場所ではやはりアレに限る ・・・・

 

 

 

 

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そうそう、朝から何も食べてなくて腹がグウグウ鳴っていたのだった。

 

そこにある絶景と空気と一緒に梅のおにぎりを頬張り、濃い茶をゴクゴクとやった 

 

いやー旨い ・・・・ 普段梅おにぎりは選ばないのだけれど、こんな場では梅以外ないと言う位旨いと思った



 

 
 

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そして腹も落ち着き、目を凝らせば驚きがある

  

富士の雲海の上に見えるのは、相模湾 ・・・・ すなわち水平線である

  

長野県から太平洋が見える事を初めて知った 


 

 

 

 

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更に、そこからは彼方西方には南アルプスの甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳

 

そしてこれから向かう金峰山、奇岩で知られる五丈岩が見える

 

 

 
 

 

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大弛峠からおよそ2時間弱、ケルンが築かれた石だらけの踊り場に出た。

 

下には川上村が意外と近くに見えて、この場所が標高2500mもある様には感じられない程である
 
 

  

  

  

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そしてそこから西に目を移せば眼下には奇岩荒々しい瑞牆山、そして先には八ヶ岳連峰まで見渡せた

 

しかし、この時いまだ朝8時にもかかわらず、八ヶ岳には雲がまとわり始めている


雲が続々と湧き上がり山にまとわりつく ・・・・ 特に夏山は早朝にしかいい表情は見せてくれない 

 

 

 

 

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その石だらけの踊り場から見えた川上村とは逆の方角には、すぐそこに金峰山の山頂が見えていて、

  

這松と巨大な岩場をもう数十メートルアップを残すばかりである

 
 

 

 
 

 

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只、もう少しと言っても、まったく楽しくて物足りなくもなってくる

  

と言うのは踊り場辺りが植生限界にあたるのか? 回りの表情はうって変わり視線を遮るものはなくて、

 

のべつ絶景を味わいながら登ることが出来るから 

 
 


 

 

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2598m

 

 
 

 

山頂に近づく程、背丈程もあるゴロゴロした岩が積み重なっていて、足場を選ぶのも苦労する

 

と、気付けばもうそこは山頂であった




 

  

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富士と五丈岩

 

 

 

山頂に積み重なる岩の頂に登れば、すぐ先には五丈岩、そして近くはないはずの富士もそこにある


 
 

 

 

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五丈岩も回りの雄大な背景の中にあるとその大きさを余り感じないけれど、寄ればかなり巨大なもの

  

これに登るのは結構難しくて、カメラなどぶら下げていると岩にガンガンあたってしまって退散 ・・・・

 

と言う訳で登る人も少なく、登る人が現れる毎に歓声と拍手が起こる 



 

 

 

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まだ時間は9時だけれど、雲海からスクリと立ち上がっているように見えた富士とは既に違ってきていた・・・・

 

気温上昇に伴い上昇気流に乗って高度を上げながら雲は合体し、まとまりが大きくなっていくのだ、

 

いつも見ている君の姿 ・・・・ これが夏の富士のうつろい  

 

 
 

 

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と富士子にうつつを抜かしておりましたら富士を正面に見据えるフロントローを先に取られてた。

 

悔しかった、不覚だった

 

しかも、飯などパクついてやがる ・・・・ 羨ましすぎる

 
 
 

 

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まあまあと、悔しくもセカンドローにて360°広がる絶パノラマを味わいながら塩どら焼き。 濃い茶と共に・・・・

 

やはりこういう場所で食す、おにぎりや和菓子は最高と言う他ございません 

 
 

  

 

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山頂ではタップリ1時間程そのすべてを楽しみ、復路であるがやはり往路とは違う風景が待っている

  

いまだ朝の10時過ぎ位だったけれど、合体を始めた雲は更に上昇し大きくなっていく

   

そして、この10分後には富士は雲の中に隠れてしまったのだった ・・・・・

 




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朝6時には12℃だった大弛峠も5時間後の11時には既に24℃をさしていて先が思いやられた・・・・・

  
帰りのダウンヒル途中後ろを振り返れば先程登ってきた金峰山の五丈岩が見えた

 


 
 

 

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写真を見ても分かるだろう、この光のキラキラ感

 

とにかく空気の透明感が半端じゃなくて、光の密度が高い
 

 
 

 

 
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そして、乙女湖の先の水場の近くクリスタルラインで唯一富士山が見えるポイントではやはりこの通り

 

モクモクと湧き上がる入道雲に富士子はそのすそ野すら見せなかった

 

夏には昼まで富士子が見える日は数える程しかない ・・・・ 去年で言えば夏の3ヶ月で5日しかなかったのだ

 

 


 

 

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JINBEE 

 

 

 

 
さてお昼は前に来て気に入った山梨市駅近くの洋食屋 JINBEE

 

カレーとかオムライスはかなりの盛りだけれど、海老フライやパスタはごく常識的な盛りでした・・・・旨かったよ

 

 

  

 

 
 

 

 
 


 

午前11時の時点で標高2300mの大弛峠ですら気温24℃。

 

乙女湖を越えてからの気温上昇のすさまじさは全身で感じ取れた・・・・

 

塩山に近づき葡萄畑が広がる直線路では見る見るスピードが乗りメーターは50km/h以上を表示していた。 

 

でも何故か?漕がずとも汗が吹き出す ・・・・ それはまるでドライヤーの熱風に向かって走っている様だった。 

  

 

 

 

夕方ラジオから流れるニュースが甲府の気温が今年最高を記録したと伝えている

  

38℃ ・・・・ 道理で死にそうな顔でヒルクラしている人が多数いたわけだ 





 

今日もありがとう

 
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