不思議にも私が旅に出ると、決まって何かに見舞われてしまう。
あれは平成7年頃だったか、日本のブライダルメーカーの依頼でイギリス、オランダ、ベルギーの教会を日本に移築する為渡欧。イギリスのマンチェスターを訪れた時の事。
テロ組織に爆破されたビル現場を目の当たりにした。
ちょうど通りかかった車内から爆発音と共に炎と黒煙、窓ガラスが割れ、入り口が破壊された直後を目撃した。
テロで大きな衝撃を受けたが、大きく報道はされていなくとも各国で多発している事を実感した。
象嵌家具買付けで、ドイツに行った時の事。
ドイツ東西の壁近くで東から西へ移動する人々を見ていると、西ドイツ政府から一人200マルクのお金を渡している光景に出会う。人々はそのお金でバナナを買いに走る。
私が子供の頃、バナナは貴重で遠足の時に食べられる位だったと、当時の物不足の日本と東ドイツの経済状態が妙に重なった。
移動する人々が日毎に増え、1ヶ月後、東西の壁は崩れた。
1マルク=65円が一気に95円となったが、早々と決済を済ませていたのでホッとした。
為替レートに翻弄される仕事でもある。
チェコスロバキアでは、チェコとスロバキアという2つの国に分断、社会主義も崩壊した。
よくお客様に「海外で物騒なことに遭遇したら恐ろしいでしょう」と尋ねられる。
しかし、「どこにいても死ぬ時は死ぬ」と腹をくくっている。
私は「その国の背景も売る」 戦後生まれの私なのに、訪れる先々でテロ・政変・戦争等に巻き込まれることも稀ではない。
前回書いたように悪天候で、機体が大揺れなんて何でも無いこと…。
つづく…