お腹の脂肪を落としてシックスパックスにしようと、一生懸命 腹筋運動をしているという人は案外多いが、では本当にこのような「部分痩せ」は出来るのだろうか?

結論から言うと、医学的には「部分痩せ」が出来るという事は証明されていない。

逆に言うと、出来ないとも証明されていない。

私は「部分痩せ」は出来ると考えている。

これは東大の石井教授の受け売りだが、例えば魚の鯛の一番美味しいのはエラの周りと言われる。

エラは鯛が呼吸するために常に動いており、エラの周りの肉(筋肉)は引き締まっていて美味しい。

同様に、鰻で一番美味しいのは尻尾の部分である。

尻尾は泳ぐ時に常に動いており、程良く脂肪が落ちて引き締まっている。

鰻屋さんで一番価格の高い鰻には必ず尻尾の部分が入っている。

あくまで一般論で、鯛も鰻も脂ののった腹の部分が好きと言う人もいるだろう。

ここでのポイントは、「部分痩せ」が出来る可能性があるという事。

なぜ「部分痩せ」が出来るか出来ないかの証明が出来ないかというと、それは人間が長時間腹筋運動が出来ないから。

鯛のエラや鰻の尻尾は常に動いているが、人間が腹筋運動を続けられる時間はせいぜい10分だろう。

これを何時間も続けられれば「部分痩せ」出来る可能性があり、私は必ず「部分痩せ」は出来ると考えている。

お腹周りに脂肪が集まるのは、腹部に大血管が通っていて栄養が補給され易い部分であるという事と、脂肪細胞が周辺に集まっているから。

また、人間が生きていく上で、頭や腕、足に脂肪が溜まってしまうと生活に支障が出るから。

この何年かで5kgとか10kg太ったという人は少なくないと思うが、5kgの米を手に持って生活出来るだろうか?

頭の上に乗せたらどうか?

身体の重心付近に重さがかかっても生活には大きな支障は出ない。

人体は食料が充分に手に入らなかった時代に対応するため、効率的に栄養を脂肪として体内に貯蔵するシステムを持っている。

好きな物を好きなだけ食べられるようになったのは本当にこの数十年の事で、逆に言うと、人間の身体はこの飽食の時代に対応出来ていないと言えるのかも知れない。

「部分痩せ」を考える前に、日々の食生活を見直す方が賢明かも知れない。