インターネット上でテレビを見ることが出来る事

それは、現在の日本の法制下においては、地上波の映像を
インターネット上に再送信することは、ほぼ不可能な状況です。

その理由としては、著作権法第30条において複製が厳格に定められており、
映像を実際に視聴する人以外が、複製することを禁じているためです。
また、電気通信役務利用放送法においては、再送信を実施するにあたって、
各放送局からの同意を取得する必要があります。

つまり、一言で言うとハードル高しです。

法治国家として、様々な権利・主張となる法規制について、とやかく言うつもりはありませんが、
法律を変えるためには、議会の議決を経て制定されるものであり、時間を要するものであることは容易に想像がつきます。


ところが、今回の震災を機に新たな兆しが・・・


それは、NHKのUSTERAMでの配信
始まりは、震災のあった3月11日、全てが混乱し、
皆が正確な情報を求めていた時に、

一人の中学2年生が、USTERAMでNHKの再送信を始めました。

これには、自宅にテレビの無い僕も大変助かりましたし、
停電などの影響で、テレビを見ることのできない方の多くは、利用されていたのではないでしょうか。
ただ、この再送信は先述したとおり、違法です。

この再送信もいずれとめられてしまうのではないかと思っていたのですが、
TwitterのNHK公式PRのつぶやきで事態は大きく変わりました。


停電のため、テレビがご覧になれない地域があります。人命にかかわることですから、
少しでも情報が届く手段があるのでしたら、活用して頂きたく存じます
(ただ、これは私の独断ですので、あとで責任は取るつもりです)。



その後、USTREAMでNHKの公式配信が決まり、民法各社やインターネットラジオのradiko等が追従します。

僕は、これは単なる美談だけではなく、新たな兆しの象徴だと思います。
TwitterやUSTERAMのような個人で情報を発信のすることのできる技術の発達によって、
中学2年生、NHKの広報担当者の方といった個人の力で世の中を変えた出来事です。

これは、チュニジア政変とFacebookの関係に似ています。

スタンドアローンであった個の意見は、ネットという集合体によって大きな民意となり、大きなうねりをもって、現実社会への変化をもたらします。
そこに大きな希望を見出す事も出来ますが、同時にTwitterなどにおけるチェーンつぶやき等ブラックな側面も併せ持ちます。
今までの広告手法のような「マス⇒個」だけではなく、「個⇒マス」を形成する時代の幕開け。

大事な事は、この災害を機にしたとしても、この災害を忘れてはならないし、
これからの新しい社会をどう形成してゆくのかを前向きに考えてゆく事ではないかと思います。