b-flower「永遠の59秒目(2014 Kyoto Version)」
(2014)
購入についてはこちらをご参照ください。
今年、「ムクドリの会」のイベントのためにわざわざ上京してくれた八野英史。本人と一緒に音源も上京してくれてて(正確には先にデータで送って貰ってたんだけど)、会のイベントにて、リテイクされた「永遠の59秒目」を初の一般公開をさせて貰った。そんな曲がようやく10月にリリースされる。オリジナルは6枚目のアルバム「b-flower」に収録。ただし、実際にはイベントの時にかけたやつとは、また別のテイクが今回採用されてる、とのこと。イベント来た人はレア体験だったわけですね。
前に八野ブログだったと思うんだけど、過去のbの作品の再発が諸般の事情で難しい、と言っていたかと思う。また一部の作品についてはYouTubeやサウンドクラウドなどでの公開も困難、という話も耳にしていた。ただ、「リテイクなら大丈夫らしい」ということらしく、今回リリースされる2曲以外にも、リテイクは進めていて、随時リリースの運びになる様子。
で、そういう話になると、当然、ひとつの疑問が浮かぶことになる。
「リテイクする曲のセレクトって、どんな基準で?」
答えは本人曰く、
「いま歌ってもおかしくないもの。いまリテイクする余地が、意味があるもの。」
これ、イベントの打ち上げで図々しく色々訊きまくった時に聞いた話。確か、
「気に入ってる曲を録り直した、みたいなことなんですか?」
と尋ねたと思うんだけど(この時点でかなり酔ってたからさ、うる覚えっす)、
「好き嫌いではなくて、例えば「リラ」みたいな曲は、完成してるってのもあるし、もう50になる僕にはリアリティを持って歌えないんですよ。」
という内容の回答だった。
と、いう話を踏まえて、改めて「永遠の59秒目」を聞いてみる。
かけがえのない何かを探そう
夢の続きを見よう
永遠の恋かもしれないな
永遠の 永遠の
このまま時を 日々の暮らしを
笑って行ければいいね
永遠の恋におぼれたいな
永遠の 永遠の
アレンジについては、新旧共にbのメンバーと細海魚が手掛けているんだけど(旧の方の時代はまだ外部協力なので、クレジットもb-flower+細海魚。新の方はもうメンバーだから、クレジット上はb-flower)、旧の方だは上に引用した歌詞、サビのところで、生ストリングスが高揚感をアシストしてる。アルバムでは「蛍」の後に置かれているんだけど、「蛍」が残した「ほのかな灯」が、この曲で広がり、ゆっくりと、しかし確実に視界が、空が明るく開けていくような気分になる。
(余談ながらついでに言えば、アルバムでは「永遠の59秒目」の後に置かれた「Giant Kiler」によって、明るさ、高揚感はピークに達する。ここが「b-flower」というアルバムのいくつかあるハイライトのひとつであり、そういうことはアルバムを通して聴くことでしか得られない快感。なので、「b-flower」はiTunesで買えるから、試しましょう→https://itun.es/jp/_mz8Q)。
翻って新の方、今回の「2014 Kyoto version」を聴く。同じくb-flower+細海魚のアレンジながら(って、新の方、宮大が今回不参加なので、厳密には4人のメンバーのアレンジ、ってことになるんだけど)、全体にトーンは落とされている。八野英史の歌も抑え気味。16年という年月を経たことを窺わせるサウンドであり、アレンジだな、と思う。
しかし、それは単に「老いた」という話では全くない。細海魚の静かながら力強いタッチのピアノ、ブルージーに抑制された鈴木浩のギターソロ、相変わらず歌の背中にそっと手を当てて、支えながらもゆっくり押していくような岡部亘のドラミング、そんな落ち着いた、力強いサウンドに支えられながら、16年前に書いた歌詞を、いくつになろうが揺るぎない心性であることを窺わせる低めのトーンで歌い紡ぐ八野英史を聴いていると、16年前に描かれた「嘘みたいに綺麗な色をしてる」何かを追い求めることは、とても、とても尊いことなのだ、という思いを抱かされる。
そして、それは「キラキラとして」た16年前のオリジナルにはない、2014年の、今のbの、新しい魅力になっている。本当の「つまらない大人」には決して描けない、鈍くも光り輝く灯が、この新しいバージョンには、ある。
こうなってくると、片っ端からリテイクをやってくれまいか、と思うし、当然新しい曲も聴きたくなる。けど、それもこれも、おそらくは受け手のリアクションによるところが大きいはず。
よって、皆さん、買ってね。損はないから。
日下部将之

