『最高の離婚』

2013年/日本テレビ/全11回/脚本 坂元裕二

 

今、TVerで春の特選ドラマ100本という企画をしていて、もう、毎日ドラマ漬けでした。

1994年の『古畑任三郎 第一シーズン』が月水金、この『最高の離婚』が火木土アップされもう毎日ドラマ。

 

『最高の離婚』は『大豆田とわ子と三人の元夫』『カルテット』映画『花束みたいな恋をした』の脚本、坂本裕二さんの脚本で見たいと思っていました。

 

 

 

1時間ドラマであり、メインとなるのは4人だけとはいえ、実に見ごたえのある大人のドラマでした。

第一話で濱崎光生(瑛太)と結夏(尾野真千子)の2年目の夫婦は性格が正反対だけれど、勢いで結婚したものの喧嘩ばかりで、喧嘩した勢いで離婚届を出して離婚してしまう。

 

そんなとき、光生は10年前に同棲していた彼女、灯里(真木よう子)が目黒の家の近くに引っ越してきて再会することに。

しかし、灯里は諒(綾野剛)と結婚していました。

 

光生は実は諒が女遊びが絶えず、たくさんの女性とつきあっていると同時に灯里と書いた婚姻届をまだ役所に提出していない、ということを知ります。

女遊びを知っていても見て見ぬふりをしている灯里。それをいいことに遊びまくる諒。実は結婚していない同棲カップル。

 

独身に戻った光生は気持複雑です。

しかも、元妻、結夏は光生の祖母と仲良く、離婚したことを切り出せずしばらく、こちらも仮面夫婦に。

 

 

最初に光生が歯医者で

「結婚は長い、長い拷問ですよ」

と愚痴をこぼすように、紙きれ一枚で結婚、離婚決まってしまう「紙の重さ」を描いています。

 

光生は神経質で潔癖症だけれども、真面目で自分に合わない営業の仕事をしている。

結夏は、がさつで口が悪いけれど、明るくて元気いっぱい。

灯里は逆で、美人でおとなしくて、しとやか。いつも静観しているような女性。ただ黙って根に持つタイプ。

諒は、女にもててしょうがない。でも自分が浮気をしているなんてひとつも思っていない。

 

 

さて、この4人が離婚と結婚をからめて時に仲良く、時に喧嘩しながら、時に敵になり、時に味方になりが転がっていきます。

 

結夏は離婚して、年下の男の子、淳之介(窪田正孝)に慕われて、いきなりこれまた婚姻届をつきつけて結婚しましょう、幸せにしますよ、と言われるけれど

 

「私、幸せになるために人を好きになるんじゃないから」

 

と断ります。

 

 

光生の祖母(八千草薫)は、

「婚姻届は結婚の始まり、離婚届は離婚の始まりよ」

というように、離婚したからきれいさっぱりな人間関係になったか、というとやはり心の傷になることをずばり言います。

 

思ったことをすぐ口に出して喧嘩ばかりの光生と結夏の夫婦と正反対に見える灯里と諒ですが、いつもは静かで怒らない人が本気で怒ると怖い。

だから灯里の言葉が一番、ぐさっとくることを溜めに溜めたうえに出すし、口には出さないけれど根に持つタイプの灯里が一番、迫力。

 

「死ねばいいと思った」

 

光生は昔、灯里を付き合っていたわけですが、離婚して独身に戻って、元カノに再会して、自分に都合が悪いことは忘れてしまい。もしかしたらまた灯里と付き合えるのかもしれない、とずけずけ立ち入ってくるとぴしゃり、と別れた時は「死ねばいいと思った」と無表情で言い放ちます。

 

 

4人とも悪人ではないけれど、それぞれがいいところ、悪いところがあって完璧な人間、完璧な結婚、理想の夫婦・・・・・・なんてありえない、という実感を実にうまく脚本にしていますね。

 

最後に光生が

「結婚は、拷問だと思っていましたけれど違うんです。食物連鎖です」

と言うように人間関係というのは、すっぱり切ることができない。ややこしくて、面倒で、傷ついて、喜んで、紙一枚で決まってしまう人生なんだ、という「連鎖」なんですね。

 

ドラマのエンディングが着飾った4人が踊るのですが毎回違っていて、ED曲を歌った桑田佳祐さんも出てきて、『大豆田とわ子』も『カルテット』もエンディングが凝っていましたけれど、このドラマもいいですね。

 

 

ただし、とてもシビアな大人のドラマなので、恋に恋するお年頃とか、シンプルなハッピーエンドとかがお好きな人向けではないかもしれません。

とても複雑なドラマなんです。