『梨秦院クラス』
2020年/韓国/全16話
Netflix
このドラマはもうNetflixの韓国ドラマの中でも『愛の不時着』と並んでいつもトップを走り続けているドラマです。
このGWに1話のぞいてみたら、ずるずるとひきずりこまれてしまいました。
些細な喧嘩から人生を狂わされ、復讐と0からのし上がっていく下剋上ドラマ。
1話が60分で16話ですから16時間ですが、もう止まらなくて。なんといっても先が読めないスリリングさと緻密に計算されたストーリー、エピソードの積み重ね、脚本の上手さ、脇の人物たちの動かし方の上手さ、最後の最後まで手を抜かない力技、そして恋愛要素や友情などの挟み方もうまく、基本は逆境に屈せず、成功するまでの物語。
主人公、パク・セロイをパク・ソジュンが演じましたが高校生から30代まで演じ切るという、ある意味、強引なのですがすべての始まりは高校時代からなので同じ役者さんでやってしまった事はパク・ソジュンが若くも見えるし大人にも見えるというところをうまく使っていると思います。
パク・セロイは父に連れられて高校に転校してきましたが、転校初日に韓国外食産業ナンバー1の長家(チャンガ)の御曹司、チャン・グンウォンが父の権威を振りかざしていじめをしているところを止めます。
グンウォンに逆らうものは誰もおらず、自分は悪くないのに土下座して謝れ、という理不尽に屈しなかったことから即、セロイは退学、しかもたった一人の家族である父がグンウォンにひき逃げされて死んでしまった事からグンウォンを殴り、暴行罪で刑務所へ。
高校退学、前科者・・・・・・なにもかも失ってしまったセロイは自分を陥れたチャン家に復讐を誓い、長家よりも外食産業でトップに立とうと梨泰院にタンバムという小さな居酒屋をはじめ、そこからどんどんチャン家の妨害を受けながらも、スタッフを集め、15年かけて成功するまでの長い物語。
相手が大手企業であっても、何をされてもセロイは負けません。
それがあの手この手で災難が降りかかるのですが、それをひとつひとつクリアしていきます。
成功だけではなく時には手痛い失敗もします。
幼馴染で初恋の人、スアは大学を出て、長家グループに就職し、ライバルとなる。
セロイには20歳ながらも、天才(天才すぎてソシオパス)の女の子、イソがつき、セロイを成功への道と導きます。
この不動の「負けない」という固い決意がすさまじいのですね。
また、商売となると資金が必要ですがお金の描き方も見事で、チャン家もセロイも用意周到。
(去年の日本のドラマ『SUPER RICH』はこのドラマを意識していたかと思いますが、あれはただの会社ごっこ)
様々なキャラクターたちが活躍するわけですが私が好きなのは、ホジンです。
ホジンは、最初の最初、セロイがいじめを止めようとしたときにいじめられていた男の子。
韓国大学に入り、経営学を学び、経営、資金運用のスペシャリストとなり、セロイの成功の右腕となります。
ホジンは眼鏡をかけた弱弱しい男の子でしたが、頭脳で勝ち、「(いじめを)耐えるということで戦ってきた」と言うところが、怒ったり、暴力だけではなく耐えるという戦い方もある、という強さを資金運用の腕で見せるのです。
原作は漫画だそうですが、リアリティある物語にしました。
衣装も凝っていて、高級感、上品さにあふれ、撮影もクリアで美しく、セロイを演じたパク・ソジュンはなんといっても走る姿が美しい。
初めて店を出した時のスタッフとのつながりも離れそうになってもセロイは離しません。「商売は人か金か」そんなことも描いたドラマ。
今でも人気のあるドラマはきちんとした理由がある、ということがわかったドラマです。