映画『ブレッドウィナー』(『生きのびるために』)The Bread Winner
2017年/カナダ・アイルランド・ルクセンブルグ/監督ノラ・トォメイ
NETFLIXにて
これは最初、NETFLIXで『生きのびるために』という原作の邦題で配信されたのですが東京では、『ブレッドウィナー』というタイトルでYEBISU GARDEN CINEMAで公開されました。
去年、東京フィルメックスのDMと一緒にチラシが入っていたのですが、どうも絵がNETFLIXのと一緒。タイトルは違っていますが、観てみたら同じ映画でした。The Bread Winnerは、映画公開時のアニメ映画原題。『生きのびるために』は原作の邦題でした。
どこの国の映画だろうと思ったら、カナダ・アイルランド・ルクセンブルグ合作なんですね。舞台はアフガニスタンでもアニメ映画が作れるとは思わないですが、声優さんはアフガニスタンの俳優さんを起用しているそうです。
2001年のアフガニスタン、カブール。
女性は家に閉じ込められ、教育を受ける事も、働くことも、女だけで外出もできない、男性と一緒に外出してもブルカをかぶらなければならない。
もと教師だった父と一緒に道に露店を出す少女、パヴァーナ。
父がささいなことで刑務所に連行され、家に残るのは病弱な母と姉、幼い弟とパヴァーナだけ。
そこでパヴァーナは髪を切り、少年として外に出るようになりますが・・・アフガニスタンの戦争はひどくなるばかり。
同時にパヴァーナが、弟にお話しをします。
勇気ある少年が、狼に襲われたしまった村を救うために旅立つ物語。
少年のふりをする少女というとディズニーの『ムーラン』などありますが、ディズニーアニメは好きですが、根底には「ハッピーエンド、すべて上手くいく」があると思います。
しかし、このアニメにはそんなお気楽ムードはありません。
ただ、少女パヴァーナは現状を受け止めます。逃げたりはしない。
何もかも奪われた時、人はどうするか。
このアニメは子供であっても「可哀想な子」という描き方をしません。
必死に知恵を絞って生き延びるのが当然、と思っている子供を凛々しく描きます。
残酷な事を残酷に描くのは野暮な事で、このアニメはシビアであると同時に美しく、物語の部分は切り絵風にして色鮮やかです。
私が親だったら子供にこのアニメを観せますね。
女性、少女が家に閉じ込められているのに少年たちは外でサッカーして遊んでいるシーンなど言葉だけでなく、アニメで海外ではこういうこともあるんだという訴え方がスマートだと思うわけです。
米アカデミー賞アニメーション部門ノミネート、監督のバックアップにはアンジェリーナ・ジョリーの名があります。
こういう所がアメリカのいい所だと思うのですね。9.11テロ事件から中東やアフガニスタンへの不信が高まる中でこういう現状も賞の対象に入れるというところ。いいものはいい、ときちんと認める所ですね。
そしてそれを配信という形で全世界に発信するという事もできるところ。
日本のアニメ技術はすごいけれど、そういう考え方ってあまりないように思うんですね。
