『ウェスト・サイド物語』West Side Story
1961年/アメリカ/153分/監督 ロバート・ワイズ/ジェローム・ロビンス
TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて
(午前10時の映画祭10にて)
TOHOシネマズ午前10時の映画祭10にて鑑賞。
途中に休憩がはいるという153分の映画だったんですね。
これは学生の頃、名画座で観ていたのですが、ほとんど忘れてしまったのでこの機会に再見。
ベースにあるのはシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』
ここでは1960年代のアメリカの下町での対立する若者グループ(白人たちVSプエルトリコ系移民たち)の間の報われない恋人たちを描きます。
これだけ長い時間の映画なのに映画は、街を出ません。
ずっと貧しい人々が暮らすニューヨークの下町を映します。
ストーリーだって複雑だったり、驚きの展開があるわけではありません。
最初に空撮で、NYの高層ビルやハイウェイ、ハイウェイジャンクションなどを映して、そして貧しい人々が暮らす区間へとカメラは移動します。
黒ずんだマッチのようなアパートがぎちぎちと固まって建っている地域。
街では貧しい若者たちが、群れをつくってブイブイ言ってます。
白人のジェット団とプエルトリコ(ラテン)系のシャーク団。
シャーク団のリーダー格が、この映画でアカデミー賞を獲ったジョージ・チャキリス。いいですよね、赤とか紫とかのシャツがよく似合う雰囲気。
『サタデーナイトフィーバー』のジョン・トラヴォルタをもっと細くして甘いマスクにしたような魅力があります。
ベースとなった『ロミオとジュリエット』の原作を読むと、若いロミオとジュリエットは「ひたすら恋してるだけの若者」なんですね。
周りの乳母とかマーキュリオなんかが物語を回すのです。
この映画もナタリー・ウッド演じるマリアは、家とお店にしかいないし、一目ぼれする相手のトニーはまだ、対立する若者たちを止めようと奔走したりしますが、基本的にはもうジェット団からは抜けて働いているという設定。
暴力シーンも基本がミュージカルだから、踊っているような乱闘シーンとかね、興味深く観ました。
もっと乱暴なんだろうけれど基本、踊っているという・・・
一目ぼれして、付き合う時間もないままこんなに早く結婚意識しちゃうの?と今なら思うのですが、1シーン1シーンのスピードがとても速い映画なので、原作の対立する貴族の家を対立するアメリカの人種問題に上手く変えた所などよくできたアイディアです。
白人、といっても貧困層なので、移民たちを排斥しようとしても結局、彼らも行くところがないから、地元でつるんでブイブイ言ってるだけ、っていうのがね、当時のハリウッド映画のキラキラした世界とは一線を画しています。(この時代だから黒人は一人も出てこない)
空しい争いの犠牲になる若い恋人たちって、時代を超えて感動を呼び、絵になるのですね。
映画の事はFILMARKSというサイトにも書いているけど、他の人の感想のレベルの低さにがっかりする。
スマホでポチポチするだけだから、書く方も読む方も短文で、好き嫌いだけ書くというのが最近の風潮ではありますが、それにしてもこの午前10時の映画祭で選ばれる映画を、つまんない、わかんない、のひとことでぶつ切りにする神経を疑います。あ~あ、やだやだ。
映画は観るけど、映画が好きじゃないんだね。