『メリーゴーランド』荻原浩(新潮文庫)
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メリーゴーランド (新潮文庫)
724円
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この物語の主人公、遠野啓一が仕事としてるのは東京から車で5時間・・・という山の多い町、駒谷にある「ギリシャ村」です。通称、「アテネ村」なんともとほほ・・・なギリシャもどき。レストランのメインメニューは「ポセイ丼」
啓一はもともと東京で会社勤めしていましたが、9年前実家のある駒谷にUターンし、公務員試験に受かってしまったので、駒谷市役所に勤めています。
しかし、ある日突然の人事異動。
赤字続きの「アテネ村再生事業室」に配属されてしまったのです。
実質、出向扱いで、上司、同僚・・・・誰もやる気なし。
上司は、とにかく「報告だけすればいいから」と、仕事丸投げされてしまった啓一。
とりあえずは、近々くるゴールデンウィークに向けて、テーマパークとしては、イベントを企画してなんとか、アテネ村再生第一歩・・・を、と啓一が走り回ります。
ところが、何かにつけて、インネンつけてくるのが、「再生させなさい」という役所側。
あれはダメだ、これはクレームがくる、果てには、後にひかえる市長選の足のひっぱりあい・・
とにかくクレームつくのがこわくて、クレームつきそうな事は一切許さない・・・と言うけれど、楽しいイベント、お客さんがたくさん来るイベントに「あれもダメ、これもダメ」、なにかしようとすると「クレームがくる可能性がある」で、ダメなのであります。
アテネ村の劇団の主宰である来宮はいいます。
俺はな、マーケティングとやらが大嫌いだ。どんな表現媒体であれ、こうすれば誰それに受けるとか、いまはこうしとけば客が来る、金がとれるっちゅう発想は、洟かんでポイだよ。
だがな、世間と客のことをなーんもわかってない無自覚な人間が、客をたくさん集めようなんて甘いこと考えたり、流行らないのを客のせいにしたりするのはもっと嫌いだ。
仕事のサクセスものだけでなく、大人の世界の厳しさもきちんと描きわけ、ホロ苦いものも残します。
働いている人もいいけれど、これから社会人になろう、という若い人にもエンターテイメントとして楽しめる要素があり、苦しい、重いだけでなく、テンポの良さと笑いの中に苦みがすこし、ちょっと大人の味もする、という物語です。
