『老人と海』アーネスト・ヘミングウェイ(新潮文庫)

 

 

 

 

 余計な寄り道描写、感傷的な物の見方、冗長な台詞などを一切排した太くて大きな柱が一本、のような小説。

短いながらも、「背景を背負わない」老人がひとり大きなカジキマグロと対峙する様を描きます。老人の乗る小舟にクローズアップしていて迫力があります。

作家のその背筋には棒が一本入っているかのような、姿勢の良さが際立つ文章です。

学生時代にヘミングウェイは男性を描く作家と習った事があって、余計な恋愛もありません。女性の描き方は「植木鉢の花だ」と断言されていたのをよく覚えています。やはりこのような男の小説は、きりりとした文章がいい、と思います。

出漁する前と後での少年とのやりとりが、さりげなくてとても暖かいものを感じます。

 

英国ガーディアン紙必読1000冊の本から。