『スタープレイヤー』恒川光太郎(角川文庫)

 

 

 

 恒川光太郎さんの『スタープレイヤー』というのは一種のRPGのようなものでしょうか。

恒川さんお得意の異境ものではありますが、かなりゲーム感覚が最初の方はあります。

34歳の斉藤夕月は、買物の帰り、不思議な人に出会い、くじをひけ、と言われます。

一等賞です、といきなり言われても、うんざりなのですが、スタープレイヤーに選ばれてしまったのです。

 

 スタープレイヤーとは、スマホかノートパソコンのような形態をしていて、機能も似た機能を持っています。

しかし、10の願いを叶える事ができるのが選ばれし者の特権。

いきなり地球とは違う惑星に飛び、願いを叶えなさい、といきなり言われる夕月。

願いは具体的なものでなければ承認されません。

 

最初は、家を、そして、自分の容姿を変える夕月。美しい広い庭園を造ってみる。

一つ願いが叶うごとに星がきえていき、10のうち3つまでは自分の為に使ってしまったのですが、だんだんその願いは慎重になっていきます。

 

 願いは具体的であれば死んだ人を生き返らせることもできます。

そこら辺がリセットボタンを押して、またゲームをやりなおすような感覚なのですが、やはり、願いは10まで、そして、だんだん夕月が自分の為ではなく、他人の為にどう上手く星を使っていくか・・・・という流れになっていきます。

 

 最初は自分だけの世界から、他人との共存の世界へ。

自分の幸せは他人の幸せとなりうる、という流れに変っていきますが、様々な思惑が

乱れ飛び、平和の難しさを知る、そこまでいってしまうあたりがただのゲーム感覚

ミステリではなかったのです。

 

 恒川さんの世界では、必ずルールがあります。

異境にはられる結界のようなもの。それが、この物語ではルールがかなり具体的にゲーム化されていますが、やはりオリジナリティがあり、他の人には真似できない世界を持っていました。

 

 さて、夕月は10の願いをどう使っていくのでしょうか。

読み終わってみると、かなり突飛な設定であって、強引さも感じるのですが、読んでいる間は何の疑問もなく読めてしまうあたりが、恒川ワールドです。