『三鬼 三島屋変調百物語四之続』 宮部みゆき(日本経済新聞出版社)
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三鬼 三島屋変調百物語四之続
1,944円
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江戸時代、袋物問屋の三島屋の主人の姪、おちかが色々な人から不思議な物語を聞くというシリーズ第四弾。
秘密厳守、おちかは聞くだけ、話し手は話すだけ・・・それで胸のつかえがおりるならという密かな評判になってきています。
おちかは、元々川崎の旅籠の娘ですが、許嫁を亡くすという不幸があって、叔父の家に身を寄せています。
本来だったらお嬢さんなのですが、不幸から立ち直れない姪の為に考え付いたのが、物語の聞き手になるということ。
しかし、傾聴は難しいといいますが、本当に後味の悪い事になってしまう物語もあり、いい思いだけはしないけれどそれで人生いろいろだ、と学んでいくおちか。
この本には「迷いの旅籠」「食客ひだる神」「三鬼」「おくらさま」の四編が収録されていますが、語り手も物語の雰囲気もそれぞれ違っていて、老若男女問わずバラエティに富んでいます。
私は、深刻な物語よりも、ちょっとユーモラスな「食客ひだる神」が一番、読みやすかったかもしれません。
煮物屋から、仕出し弁当屋になった語り手が、とんとん拍子にお店が大きくなった訳は、自分に神様が憑依していたから?と語ります。
とにかく美味しいものを食べないと、不機嫌になる神様というのが可笑しいし、読んでいて微笑ましい。
かと思うと次の「三鬼」では、悲惨な物語でおちかには荷が重すぎるような物語。
ただ、それも一種の修行と見守る叔父夫婦が心強い。
一番、宮部みゆき調だな、と思ったのは最後の「おくらさま」
美人を鼻にかけたが故の醜さみたいな女のいやらしさを描かせると、意外と宮部みゆきさんは上手いんですよ。
特にそれは現代ものに見られるのですが、江戸時代ものでも、「外見は美しいが、中身はどうか?」という事を問う、みたいな物語はありますね。
まぁ、聞き手のおちかが、若くて美人で性格もよくて、いい子すぎるのですが、では何でもうまくいきますか?というとそうでもない所が、まだまだ物語は続きます、と引っ張るところです。

