実は死と隣り合わせ…

『ちいかわ』衝撃の“過酷エピソード”

映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』考察:真の悪者は誰なのか ...

かわいらしいキャラクターたちが織りなす日常の裏で、想像以上にシビアな世界が描かれている『ちいかわ』。労働に励み、時には命がけの討伐に挑み、傷や喪失を抱えながら生きる姿も少なくない。今回は、そんな『ちいかわ』世界の“過酷さ”が伝わるエピソードを5つ紹介する。第5回。(文・たまごまご)

努力して取った資格が水の泡に? シーサーを襲う理不尽【2022年7月4日投稿回】

【注目ポイント】

 真面目な子が多い『ちいかわ』。中でも特に勤勉なキャラクターがシーサーだ。シーサーはラーメン屋「郎」で働きたいがために勉学に勤しみ、非常に難しい「スーパーアルバイター」の資格を取得している。現在は飲酒の資格を取るためにさらに勉強中だ。

 そんな頑張り屋のシーサーが、「スーパーアルバイター」の資格を失ってしまう可能性が出てきた。

 シーサーが喫茶店で勉強をしていたとき、働いていた店員(スーパーアルバイターの資格を持ったちいかわ族と思われる)が突如、危険な討伐対象に変化してしまう事件が起きた。シーサーも慌てて、その場から逃げ出す。

 この事件は、ちいかわ族を管理していると思われる鎧さんたちの間でも問題視された。そこで出たのが「スーパーアルバイター」の制度がなくなるという噂だ。

 さすがにこれには、「郎」でシーサーを雇っていた鎧さんも「かっ…かわいそすぎる!!」と焦る。たまたまその噂を聞いてしまったシーサーはショックを受けてしまい、知恵熱で倒れてしまうほどに考え込んでしまう。

『ちいかわ』の世界では、ちいかわ族が討伐対象に変化する理由がわかっていない。そのため、避けることが全くできない。もしかしたら引き金になるなにかがあるのかもしれないが、現時点では突然訪れる天災のような扱いだ。

 討伐対象に変化してしまうことは、本作における脅威のひとつだろう。同時にそれに関連する出来事によって、今まで苦労して積み上げてきた生活が水の泡になってしまうこともあるのを、この回は描いている。

 堅実な努力が実を結び、労働の中で充実を得る日々は、ちいかわ族にとってのささやかな幸せなはずだ。しかしその幸せすらも、ちょっとしたはずみで失われてしまう危うさが『ちいかわ』の世界にはある。

 不安と悔しさでいっぱいになったシーサーの流した涙は、見ていてとても苦しい。だが困難に立ち向かう手立ては、現時点のちいかわ族にはほとんど無い。今はただ、受け入れるしかない。現実に抗うことができないちいかわ族たちの姿は、あまりに弱い。

 それでも『ちいかわ』という作品におけるキャラクターたちは、ほとんどが善良さを貫いて生きている。そこが本作の持つ、大きな魅力のひとつだ。この世界は過酷で、時に無慈悲だが、キャラクターたちの生き方は純朴なままだ。