風明の号哭と明かされる重大な秘密【第11話】
後宮の書物で、阿多妃(CV:甲斐田裕子)の息子を取り上げたのが養父である羅門(CV:家中宏)だったこと、そして、その時に何があったかを知った猫猫。第11話では、一つの真相に辿り着いた猫猫が阿多妃の侍女頭・風明(CV:日高のり子)を訪ねる。
猫猫が通された風明の自室は荷物がまとめられ、随分と片付いていた。「やはり…」と猫猫は思う。それは、阿多妃が四夫人から外される代わりに、新たな妃が迎えられることを意味していた。
現帝の東宮時代に、当時唯一の妃だった阿多妃は子供を身ごもった。しかしながら、不運なことに皇弟の出産日と重なったことにより、阿多妃の出産は後回しにされたという。難産の末に無事、男児が生まれたものの、子宮を失った阿多妃。もう二度と子を産むことができない阿多妃は、皇帝と乳姉弟で幼馴染という間柄ゆえにこれまで妃の座に留まっていたが、ついに宮を去る時が来たのだった。
それもこれも、あの日阿多妃を助けられなかった羅門のせいだと風明は考えているのだろう。猫猫がその男の養女であると知った彼女の顔からいつもの穏やかさは消え去る。しかし、そんな風明にもある重大な秘密があった。
出産後、体調が芳しくない阿多妃の代わりに男児の世話をしていた風明。それはそれは大事に育て、滋養にいいとされる花の蜜も与えた。赤子には致命傷となる毒がそこに含まれていたことを風明が知ったのは、阿多妃の子が死因不明で生き絶えてから、しばらく経ってのこと。かつて嫁姑の関係でありながら、親元を離れた里樹妃(CV:木野日菜)と、子どもを産めなくなった阿多妃。まるで実の母娘のような関係だった里樹妃から、幼い頃に蜂蜜で命を落としかけたという話を聞いたからだった。
阿多妃にそのことを知られたくない風明は、里樹妃を遠ざけるように。そのうち先帝が亡くなり、里樹妃が出家したことで心を撫で下ろした風明だったが、里樹妃は現帝の妃として後宮に舞い戻ってきた。しかも、阿多妃の立場を揺るがしかねない里樹妃の存在は風明にとって邪魔でしかない。園遊会で里樹妃に毒を盛った犯人は風明だった。
猫猫に真相を言い当てられた風明に狼狽する様子はない。彼女は淡々と、阿多妃と出会った時の衝撃を猫猫に語る。親に言われるがまま侍女となった風明にとって、女性でありながら確かな意志を持つ阿多妃は尊敬以外の何者でもなかった。
「なのに私は、阿多様の一番大事なものをこの手で奪ってしまったのよ!」
それを口にした途端、風明は感情を露わにする。彼女がやってきたことは決して許されることではない。けれど、後悔や罪悪感とともに一人で秘密を抱える苦しみはどれほどのものだったのだろう。風明の号哭は、声優・日高のり子の名演も相まって強く心に迫るものとなった。
その後、猫猫の提案により、「四夫人の座を保つため」という動機で里樹妃に毒を盛ったのは自分であると自首した風明。もう一つの動機を隠したまま、彼女は絞首刑に処された。結果は変わらないが、風明は阿多妃に皇子の命を奪ってしまったことを知られずに済んだのである。
自分にできる最大限を尽くした猫猫は外壁に登り、物思いに耽っていた。そこにやってきたのが、翌日に後宮を去る阿多妃だ。阿多妃は猫猫と月見酒を交わし、「お情けでやっていた飾りの妃を 早く誰かに受け渡したかった」と独白のような本音を語る。
その後、献杯を捧げるかのように下女が飛び降りた堀へ酒を零す阿多妃。下女は風明に嫌疑がかからぬよう、自ら犠牲となって自殺したのだろう。阿多妃もきっと、そのことを知っていた。「皆 莫迦(ばか)だ」という彼女の言葉は自分への忠誠心ゆえに間違いを起こした侍女だけではなく、妃の座にしがみついていた己自身にも向けられたものなのだと思う。その背中は哀愁に満ちていた。
