「中国人ってこんなに嫌われているの?」
日本生活9年目で明かす本心 マナー振る舞いは
「行動で示すように」
「夢の国の言葉に思えた」日本語と運命の出会い 就職してからは現実逃避として猛勉強する日々
浙江省臨海市で生まれた
むいむいさんが
本格的に日本に興味を持ったのは高校生の頃。
レベルの高い高校に進学し、燃え尽き症候群に陥っていた時、偶然出会った日本のアニメにハマりました。
声優さんの声の良さ、話す日本語の美しさも手伝って、日本語がまるで夢の国の言葉のように思えたと言います。独学で日本語を勉強するようになってからは、響きの心地よさ、単語の1つ1つにさらに引かれていきました。
大学時代、そして就職後も学習の日々は続きます。特に社会人になってからは、アニメと日本語はむいむいさんを支えてくれる存在になりました。
「転職を繰り返していて、人生がつらすぎたんです。現実逃避の手段の1つとして、すがりたい思いで日本語を勉強していました。数ある言語の中からなぜ日本語を選んだのか、はっきりした理由があったというよりは、『そこに日本語があったから必死でつかんだ』という感覚が近いかもしれません。そして手を取った以上は、一緒に二人三脚していこうと決めました」
日本の独立行政法人・国際交流基金の北京事務所で、イベントの現場運営や通訳の仕事を経て、2018年に念願の来日。東京アナウンス学院で日本語のトーク技術や表現方法などを学び、バイリンガルMCや翻訳、動画制作などいくつもの仕事を手がけながら、コロナ禍の20年4月にYouTubeでの発信を開始しました。日本や日本語への愛を楽しく、そしてマニアックに語る動画が人気を集めています。
日本と中国はお隣同士ということもあり、深く、複雑な関係にあります。その交友の長さから、中国に対して凝り固まった見方をしてしまう人も一定数いるのが現実です。むいむいさんは周囲から向けられる視線とどう付き合っているのでしょうか。
「チャンネル名にもアカウントにも『中国人』と入れているので、『中国人としてどう考えますか?』と聞かれることは本当に多いです。ただ、中国といっても国土が広いですし、地域差と世代差は他の国よりもさらに激しい。日本での生活が長くなったので、私が知っている中国の情報も古くなりつつありますし、中国人でも私と違う考えを持っている人もたくさんいます。『私個人はこう思います』『人によります』と必ず補足した上で『一般的な中国人、中国の感覚ではこうです』と伝えるようにはしています」
「中国人ってこんなに嫌われているのか」 YouTube発信から得た気づき
実際、日本在住の中国人YouTuber同士でも、それぞれの感覚や背景によって見解が異なることはよくあるといい、「14億人もいる中国人の代表には誰もなれないですよね。毎回『中国ではどうですか? 中国人はどう考えますか?』と聞かれると、すごく考え込んでしまいます。私は私自身の代表にしかなれませんから」と複雑な思いを口にします。
中国人は〇〇だ、中国人は△△する。その内容がネガティブでもポジティブなものであっても、固定観念が強すぎることは偏見や差別につながる可能性があります。むいむいさんも、自身の番組のコメント欄で心ない言葉をかけられることは度々あったそう。
「私も日本に来て、YouTubeを始めてから『中国人ってこんなに嫌われているのか!』って驚いたくらいなんですよ。中国ではリアルな情報を調べようとしても手段が制限されていることもありますし、自分の国が他からどのくらい嫌われているかなんて考えようとも思わなかったですから。YouTubeにアンチやヘイトのコメントが来るようになったことで、ネット上でのネガティブな情報も確かめるようになりました」
マナーが悪い、大声で騒ぐ、列に並ばない……。ネット上などで指摘される中国人のイメージについては、むいむいさん自身も「一部は合っている」と認めます。「ちゃんとできていない部分があるから、たたかれるのも理解しています。中国人の気質の1つである『安易に謝罪しない』ことが反感を買うこともあると思います」と考えを語ります。
「昔は日本に留学に来た学生でも分割払いでスマホを買うことができたのですが、支払いの途中で帰国して残りの支払いを滞納する学生がいて、そこから中国人留学生への信用がなくなり、私が日本に来た頃は基本一括でしか買えないなんてこともありました。少し前には奈良の鹿に危害を加えたというニュースもありましたよね。同じ中国人として恥ずかしいなと感じました」
一方で、「そのマナーを守っていない人も、決して中国人代表というわけではないんです」とむいむいさん。「次に日本に来る中国人のためにも、私は評判を下げるような振る舞いはしないぞと努めています。言葉でいくら『いい中国人もいるよ』と言っても、行動が伴わなければ伝わらない。頭ごなしに否定するのも無駄な反論だと思うので、私は行動で示すようにしています」と、自らの心がけについて語ります。
