2064年には世界人口が半分になる

「最悪のシナリオ」。

 
 

世界の人口が増えるにつれて、気候変動や疾病、戦争、資源の枯渇といったさまざまな危機が、地球の環境収容力(人類が地球上で持続可能な生活をできる最大人数)を大幅に低下させる恐れがあるそうです。 新たな研究によると、もしも今この瞬間に世界規模の大災害が発生した場合、今後数十年で人口が急減する可能性があるとのだとか。

2064年までに世界人口が半減?

5月22日に学術誌Chaos, Solitons & Fractalsに掲載された研究結果によると、仮に地球の環境収容力が今すぐに約20億人規模まで落ち込んだ場合、2064年までに世界人口が約50%減少する可能性があるといいます。 つまり、世界人口は、現在予想されている80億人~100億人規模から、40年以内に40億人~50億人まで縮小するかもしれません。研究チームは、過去1万2000年にわたる世界人口の増加パターンを統合した新しい数理モデルを用いた結果、今回の結論に達したとのことです。 ミラノ大学の物理学教授で、研究論文の共同執筆者でもあるAlessio Zaccone氏は、声明で次のように述べています。 論文でも強調しているように、これは未来の予測ではありません。環境や社会の急激な変化に対して、人口動態がいかに敏感に反応するかを示すための数理的なシナリオの一例です。現在は比較的安定した推移を見せており、差し迫った崩壊を意味するものではないという点を強調しておきます。

人口増加シナリオを再検証

Zaccone氏と、2025年5月に亡くなるまでロンドン大学クイーン・メアリーで理論物理学者として勤務していた故Kostya Trachenko氏は、このモデルを用いて、1960年にHeinz von Foerster氏らが提唱した有名な「終末」シナリオを再検証しました。 その論文では、過去2000年間と同じペースで人口が増え続けると、2026年までに世界人口は無限大に近づくと計算されていたそうです。 といっても、地球上に無限の人間があふれかえるわけではありません。人口増加率が制限なく継続的に加速することを意味します。出生率が低下したため、このシナリオは実現しませんでした。 しかし、Zaccone氏は、「暴走的な成長の根底にある数学的メカニズムは、特定の条件下では依然として再現される可能性がある」と指摘します。 今回の研究では、将来の人口増加についてさまざまなシナリオをモデル化しています。計算によると、現在の世界的な傾向は、かつてvon Foerster氏らが論じたような「破滅的な特異点」には至らないものの、大規模な環境危機によって、急激な人口減少を招き、最悪の場合は崩壊につながる可能性も示唆されています。 Zaccone氏はこう説明します。 地球の持続可能な環境収容力が突如として約20億人まで低下するという、あえて保守的な最悪のケースを想定した場合、私たちのモデルは世界人口の急速な減少を予測しており、2064年頃には人類が半減する可能性もあると示しています。 また、別の暴走的に成長するシナリオでは、世界人口の増加が加速し、2078年頃に数学的に持続不可能な特異点(人口増加が持続可能な環境収容力の限界を超えてしまう転換点)に達することが示され、かつての「終末」予測を実質的にアップデートする形になっています。

 

 

「終末」を読み解く

Zaccone氏は、さまざまな歴史的時代における実証的な人口データと比較したことから、モデルに自信を持っているそうです。 同氏によると、このモデルは「急激な指数関数的成長段階(産業革命期の人口爆発など)」と、1970年頃から続いている「緩やかな指数関数的成長段階」の両方を見事に再現したとのこと。 先述しましたが、このモデルは将来の人口増加を予測しているわけではなく、さまざまな条件下で何が起こり得るかを示しているに過ぎないことを忘れてはいけません。 といっても、核の冬や感染症の世界的大流行、極端な気候崩壊といった途方もない大災害、あるいは複合的な地球規模の危機が発生することで、比較的近い将来に地球の環境収容力が20億人まで低下してしまう可能性がまったくないとは言い切れないんですよね。 もちろん、これは起こる可能性がかなり低い最悪のシナリオです。しかし、Zaccone氏は、人類に対する脅威が激化するなかで、起こり得る未来を探るための統一的な枠組みとして、今回の新しいモデルが役立つことを願っているそうです。