「日本では社員をクビにできないから大丈夫」は
大間違い…日本でじわじわ
進む"AIを使えない人"の淘汰
AI時代を生き抜くにはどうしたらいいか。企業向けにAI研修・開発を提供するデジライズ代表の茶圓将裕さんは
「日本では、AIが仕事を奪う時代に備え、政府による大規模な雇用支援をセーフティネットにしようという期待すらある。
しかし現状では、これらが十分に機能する保証はない」という――。
※本稿は、茶圓将裕『AI脳 自由な時間が無限に生まれる思考革命』
(KADOKAWA)を再編集したものです。 ■世界を代表する企業が打ち出したレイオフ 2023〜2024年にかけ
世界的に大規模なレイオフ(企業が業績悪化などを理由に
人員調整として従業員を一時的または継続的に解雇すること)が行われました。
Microsoftは約1万人、Googleは約1万2,000人、Salesforceは約4,000人――いずれも世界を代表する企業が
打ち出した人員削減策です。これらのレイオフの多くは2023年初頭に行われたものであり
ChatGPTの急速な普及と完全に一致するわけではありません。 それでも、売上や利益は伸びているのに人員を削った背景には、今後AIが業務を担うことを前提に、人員構成を見直す動きが加速している現実があります。
実際に削減された職種を見ると、共通点が浮かび上がります。
それは、「AIで置き換え可能だと判断された仕事」が、真っ先に
見直されているという点です。 カスタマーサポート部門はChatGPTをベースとしたボットが24時間対応し
データ入力や処理はRPA(データ入力など、人間がパソコンで行う定型的な業務を自動化できるソフトウェアロボット技術のこと)とAIで自動化。 初級プログラマーの仕事はGitHub Copilot(コードをより速くラクに記述できるAIコーディングアシスタントのこと。AIを活用してソフトウェア開発を支援するツール群の総称)やCursorが代替し、コンテンツライターやデザイナーの初歩的な業務も、生成AIが量産するようになりました。
■AIを使えない人から淘汰されていく
では、今後どのくらいの仕事がAIで置き換わるのでしょうか。 世界経済フォーラム(WEF)は「2027年までに約8,300万人の雇用が失われる一方、6,900万人の新規雇用が創出される」と予測しています。差し引き1,400万人の雇用減、つまり全体の2%ほどが消える計算です。 さらにゴールドマン・サックスは「世界で約3億人分のフルタイム職務が自動化リスクにさらされる」と試算。アメリカでは職業の3分の2がAIにより部分的に自動化される可能性があるとしています。 こうした数字を見るとAIは脅威だと感じるかもしれません。しかし重要なのは、影響を受けやすいのは単調な作業に偏った職務だという点です。逆にAIを使いこなせる人材は、生産性を大きく高め、評価が上がることもあります。 つまり「AIが雇用を奪う」のではなく、「AIを使えない人から淘汰されていく」と言ったほうが正確でしょう。
■政府の対応が「時代遅れ」になるリスク
「そうは言っても、日本ですぐにクビになることはないだろう」と考える人も少なくないと思います。 AIが仕事を奪う時代に備え、政府による大規模な雇用支援をセーフティネットにしようという期待すらあります。失業給付の拡充、職業訓練の無償化、再就職支援の強化。 理論上は心強い政策です。しかし現状では、これらが十分に機能する保証はありません。
