Z世代には当たり前でも
50代には広がらない「新常識」。
SNSを開くたび、次々に新しい話題が流れ込む現代。便利なはずのインターネットやアプリ、サービスに対してかえって気持ちが追いつかないと感じる人も少なくないだろう。
そんな情報過多の時代において、新たな行動が見受けられるようになったという。15〜69歳のスマートフォン保有者2000人を対象に実施した「情報行動・欲求に関する調査」を見ていこう。
アプリ削除・通知オフから始める「剪択行動」
新たな生活者行動として挙げられるのが「剪択(せんたく)行動」だ。自分にとって有益な情報だけを残し、不要な情報は手放す行動を指している。本調査では、この「剪択行動」をとっていると回答した人が全体の61.2%までのぼった。情報をとにかく多く集めるのではなく、取捨選択を心がけた行動をとっている人が6割を超えていることになる。 背景にあるのは情報過多への疲労感だろう。「情報プール」と呼ばれる、役立ちそう・面白そうな情報をキープする人が72.9%と、2024年調査から4.7ポイント増えた一方で「情報スピードが速すぎる」「広告の出方や内容への不快感が増えた」といった実感も高まっている。情報を集める力が高まるほど、不要な情報への拒否感も強まっているようだ。 では、人々は「剪択行動」として具体的に何をしているのだろうか。内容として最も多かったのは「アプリの削除/通知OFF」で65.2%をマークした。次いで、Webサイトのブックマーク削除や公式アカウントの削除などが続く。まずは目に見える通知やアプリの整理をはじめの一歩として手をつけていると推測できるだろう。
本当に知りたい情報を見つけるための最初の一歩
「剪択行動の理由として、最も多かったのは「自分が本当に知りたい情報を見つけるため」で57.1%。次いで「偽の情報に惑わされないようにするため」「精神的な余裕を確保するため」が、いずれも34.5%だった。 印象的なのは、生活者が「完全なデジタル断ち」したいわけではないことだ。情報すべてを遠ざけるのではなく、便利さは維持したままノイズだけ減らす手段として、通知の有無や使わないアプリのアンインストールといった行動が選ばれているようにも見える。 この行動は、人それぞれのより心地よい「情報プール」を作る上で、受け取るべき情報を制限しているとも分析できる。不要なものや情報を減らすためのフィルタリングが、結果的に良質な情報にたどり着く手助けとなっているのかもしれない。
年代差が顕著な剪択行動、10〜30代で高い傾向
今回の調査では、男女ともに10〜30代で「剪択行動」をする傾向が見られた。一方、とくに男性50代では実施者が少なく、年代による差異が読み取れる。 この年代差は、単なるスマホ利用の時間差だけでは説明しづらい。SNSや動画、メッセージアプリを頻繁に行き来する人ほど、情報を取捨選択しなければ処理が追いつかなくなる。だからこそ、若い世代では情報を絞る技術が身についているのだろう。 逆にいえば、今ほどSNSが当たり前ではなく「情報の入口」が限られていた世代ほど、情報を収集する環境そのものを整えるという発想が広がっていないとも考えられる。今後は年代を越えて、不要な情報整理が日常の一部になる可能性は高まっていくだろう。
現代では「情報を整える力」が問われる
調査では、情報に関する実感についての声もまとめられている。「情報は伝える速さよりも内容の確かさだ」が45.8%、「インターネット上での道徳や基本的な使い方について、指導が必要」が42.6%、「世の中の情報量は多すぎる」が41.6%、「AIの呈示する情報は、うのみにはできない」が41.2%と上位に並んだ。 たくさんの情報を浴びるよりも、自分に必要なものだけを安心して受け取りたいと考える人の多さがうかがえる。だからこそ、より多くの情報を集めることよりも、余計なものを切り落として整える方が、かえって合理的と捉えられている

