原作に逆輸入された

『ドラゴンボール』悟空の父・バーダックは

何を成したのか

『ドラゴンボールZ KAKAROT 追加シナリオ:-BARDOCK- たったひとりの最終決戦』(バンダイナムコエンターテインメント) (C)バード・スタジオ/集英社・東映アニメーション (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
 

1984年から連載が始まった鳥山明氏の傑作漫画『ドラゴンボール』(集英社)は1995年に完結したが、その後もさまざまなメディアで展開されている。2024年にはアニメの新シリーズ『ドラゴンボールDAIMA』が放送され、大きな話題を呼んだ。

そして今年1月には、『ドラゴンボール超』のエンハンスド版であるアニメ『ドラゴンボール超 ビルス』(2026年秋放送予定)と、『超』の続編となる新作アニメ『ドラゴンボール超 銀河パトロール』が発表されるなど、変わらぬ盛りあがりを見せている。

そんな『ドラゴンボール』のアニメシリーズでは、数え切れないほどの魅力的なキャラクターが活躍。中にはアニメから生まれたキャラも存在する。そんなアニメ発のキャラクターの中で、人気を集めているのが主人公・孫悟空の父親であるバーダックではないだろうか。

 

バーダックはフリーザ編でわずか2コマしか登場しないキャラだが、その初出は漫画ではなく、1990年に放送されたアニメ『ドラゴンボールZ』のテレビスペシャルだった。

鳥山氏による「サイヤ人は顔の種類が少ない」という裏設定に基づき、「悟空と同じ顔のキャラクターがいるとおもしろいのでは」というアニメスタッフの発想から、バーダック(やターレス)が誕生したことが明かされている。

なお、作者の鳥山氏は、このバーダックが登場するテレビスペシャル『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦 ~フリーザに挑んだZ戦士 孫悟空の父~』を高く評価し、漫画のほうにもバーダックを登場させたという経緯が知られている。

ファンからも高い人気を集めるバーダックは、アニメ作品で複数回登場し、そのうちの2作品では主人公まで務めた。それぞれの作品でバーダックというキャラクターがどのように描かれたのか、あらためて振り返ってみたい。

※本記事には各作品の核心的な内容を含みます。

■フリーザ軍を相手に孤軍奮闘! 最期に浮かべた笑みの意味は…!?

バーダックが初めて登場したのは、先述の通り1990年に放送されたテレビスペシャル『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦 ~フリーザに挑んだZ戦士 孫悟空の父~』である。

このスピンオフ作品の主人公を務めたバーダックは、フリーザの命令に従ってカナッサ星を侵略する。その侵略自体は成功するものの、カナッサ星人によって未来を予知する夢を見る攻撃を受けてしまう。

その予知の夢で見たフリーザの裏切りが真実であることを悟ったバーダックは、他のサイヤ人にも危険を伝えるが、バーダックの言葉は笑い飛ばされて信用されなかった。

それでもサイヤ人の誇りと惑星ベジータの命運をかけ、たったひとりでフリーザに立ち向かうバーダック。最終的に圧倒的な力を持つフリーザの前に手も足も出ず敗れてしまうが、死の間際に息子であるカカロット(孫悟空)がフリーザと対峙する予知夢を見て、静かにほほ笑みながら惑星ベジータの爆発と運命をともにするのである。

 

■強さだけじゃない「バーダックの魅力」

そして最新のテレビアニメ作品の『DAIMA』にも回想シーンの中で登場しているバーダック。2018年公開の映画『ドラゴンボール超 ブロリー』では、バーダックの過去のエピソードが描かれていた。

本作の冒頭では、惑星ベジータがフリーザによって破壊される前の日常が描かれている。そこにはアニメ初登場となるバーダックの妻・ギネ(悟空の母親)も登場。戦闘に明け暮れるバーダックではなく、家族を思う人柄まで描かれた。

本来サイヤ人は恋愛感情をいだくことがまれで、仮に夫婦になっても淡泊な関係になるのがほとんどだという。バーダック自身が妻のギネに「おまえの甘ったるい病気がうつったんだ」と語っていたが、このふたりのような関係自体が珍しいとされた。

また『たったひとりの最終決戦』では、子どもに対する愛情も薄そうに見えたバーダックだが、本作では息子であるカカロットを地球に送りこむ際に心配する様子も見せている。妻のギネも家族思いの女性で、仲むつまじい様子がうかがえた。

もしもそんなバーダック一家がずっと一緒に暮らすことができていたら……そんなIFも見てみたくなる。

なお、本作には鳥山明氏の原作があり『銀河パトロール ジャコ』のオマケ漫画「DRAGON BALL-(マイナス) 放たれた運命の子供」として単行本に収録されている。

『ドラゴンボール』の漫画での出番はごくわずかだが、バーダックはアニメが初出のキャラとしては高い人気を誇り、ゲームには何度も登場している。中には超サイヤ人3に変身する作品まであるため、バーダックファンとしてはうれしいところ。

今後も『ドラゴンボール超』に関するアニメ展開がいろいろとありそうなので、バーダックの活躍が少しでも見られる機会が増えることを期待したい。