「見慣れない青いカエルを見つけた」。
福岡県みやま市の30代男性から西日本新聞「あなたの特命取材班」に情報が寄せられた。
同市の清水山で、よく見かけるカエルとは異なり、真っ青な体色だったという。
「九州に分布していないはずのモリアオガエルではないか」と男性。謎の青いカエルの正体を追った。
(黒田加那) 【写真】福岡県みやま市の清水山で見つかった青いカエル
男性は1日夜、家族と一緒にカブトムシ捕りに清水山を訪れた。
虫が集まるスポットである寺の楼門付近に行くと、門柱にぴったりと青いカエルがくっついていた。
大きさは5センチほど。捕獲はできなかったが
写真を撮影し、対話型生成人工知能(AI)に尋ねたところ、特徴が九州には分布していないはずのモリアオガエルと
一致するようだったという。 モリアオガエルは体長4~8センチほどで
本州や佐渡島の山間部などに生息する。ただ、よく似たカエルは九州にもいる。
シュレーゲルアオガエルだ。体長はやや小さく3~5センチほどで
山林や水田にすむ在来種。男性は「よく見かけるシュレーゲルとは違う青色だった」と
“大発見”に期待を膨らませた。
@ @ 両生類に詳しい北九州市立いのちのたび博物館の学芸員
江頭幸士郎さんに写真を見せてみた。江頭さんは、両者は見分けにくく写真のみでは確定できないとした上で
「腕が短いため、シュレーゲルのメスではないか」とみる。 青白い体色はどう説明するのか。
江頭さんによると、人間の飼育する環境で生まれた親から繁殖したカエルは、緑のカエルは青白く
赤いカエルは黄土色にというように、体色が薄くなる傾向がよく見られるという。
野生の餌で得られる成分が欠乏するためとみられ
「もともと飼育されていたカエルの可能性もある」。
一方、外来種の可能性も排除はできないという。
同じ種類のカエルでも地域によって遺伝子は異なり
江頭さんは「飼育しているカエルを自然に返すのはリスクがある」と注意を呼びかけた。
江頭さんの見解を男性に伝えた。ちょっぴり残念そうだったが
「でも珍しい青いカエルを見られてうれしかった」。大発見ではなかったものの
男性にとっては「幸せの青いカエル」だったのかもしれない。
西日本新聞

