伝説のアニメ『星のカービィ』の珍事 

 

小学生は「半分」しか見られなかった?

アニメ『星のカービィ』DVD1巻(エイベックス・トラックス)

キレキレの社会風刺を盛り込んだ、伝説のアニメ

 アニメ『星のカービィ』は、もはや伝説となっています。

 

 国民的ゲームシリーズ「星のカービィ」のアニメが満を持して放送開始したのは、2001年10月6日のことです。TBS系列で、土曜日の7時30分から8時00分の30分間の放送でした。放送開始を心待ちにしていた小学生は、その期待を良い意味で裏切られたことでしょう。想像以上に、内容が過激だったのです。

 もちろん基本的には、それ以前のコミカライズと同じくドタバタとしたギャグ路線であり、時に勇ましいバトルは子供たちの心をくすぐりました。一方で、とても小学生向けとは思えない攻め込んだ社会風刺が盛り込まれていたのです。

 

それこそ「偏向報道」や「アニメ業界の闇」、また当時も話題となっていた「旧石器捏造事件」を元ネタとしたエピソードなどなど、『星のカービィ』のアニメでなぜその方向性に舵をとったのかは謎ですが、この作風から、いつしか「和製サウスパーク」などと呼ばれるほどになったのです。

 さてこうした尖った作風のためか、DVDこそ発売されていますが、現在でも動画配信サービスではなかなか解禁されない現状です。

 こうした状況が同作の「伝説化」をますます強めているといっても良いでしょう。一方で、このアニメのメインターゲットは小学生と思われますが、とある事情から小学生たちは本作を「半分」しか楽しめなかったのです。

 それは「テレ東系列」でよくあるように、放送地域が限定的だったという意味ではありません。前述の通り、アニメ『星のカービィ』はTBS系列で全国放送で、放送時間帯も基本は「土曜日の7時30分から8時00分」で統一されています。ところが、今ではすっかり忘れ去られた「制度」が、小学生たちの『星のカービィ』視聴を妨げていたのです。

放送開始の約半年、小学生が「半分」しか見られない状況に

 それが、「土曜授業」です。今でこそ「土日は休み」が当たり前ですが、アニメ『星のカービィ』が放送開始した2001年10月6日の時点では、第二、第四の土曜日は学校があったのです。アニメの放送時間である朝の7時30分から8時00分といえば、登校準備で最も慌ただしい時間です。筆者も当時、小学生でしたが泣く泣く途中で『カービィ』を切り上げ、登校していました。

 完全に土日が休みになるのは、翌年の2002年4月6日からのこと。番組的にも大事な最初の半年間、メインターゲット層を「教育」が奪っていったのです。この状況、なんだかとってもアニメ『星のカービィ』のようではあります。

 ちなみに「学校週5日制」は「ゆとり教育」の一環でした。アニメ『星のカービィ』でも「ゆとり教育」は、しっかりイジられています。そのエピソード、第67話「魔獣教師2」が放送されたのは2003年1月25日のことで、すでに「学校週5日制」がはじまったあとでした。まったく、恐ろしいアニメです。