鬼滅ヒットで
〝田んぼ〟来場者倍増 竈門炭治郎
公開中のアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」(外崎春雄監督)が
11日時点で興行収入220億円を突破し
着実に興行成績を伸ばしている。2020年公開の前作で社会現象を巻き起こした
「鬼滅の刃」は今作でも劇場に多くの観客が押し寄せ
関連する〝聖地〟を訪れるファンが倍増するなど特需で沸いている。(近藤正規)
◇田んぼアート
お盆休みが目前に迫った週末。埼玉県行田市にある行田タワーには鬼滅ファンが詰めかけていた。
お目当ては地上50メートルの展望室から眺めることができる田んぼアート。
08年に始まった田んぼアートではこれまでさまざまなドラマや映画などとコラボしてきたが
今年のモチーフは鬼滅の刃。キャンバスとなった約2.8ヘクタールの水田に
色の違う4種類の稲で作られた主人公・竈門炭治郎がきれいに浮かび上がった。
展望室に上るエレベーターは混雑時には約1時間待ち。展望室にたどり着いたファンはわれ先にとガラス越しに炭治郎が見える絶好のポジションに急ぐ。今にも動き出しそうな迫力に、人々は口々に「すごい!!」「どうやって作ったの?」などと感嘆の声を上げる。世界最大の田んぼアートとしてギネス世界記録に認定されているだけあり、見る者を圧倒。行田市は「最高傑作です」と胸を張り、鬼滅の刃の公式Xも「田んぼ一面に広がる #竈門炭治郎は圧巻」と絶賛した。
鬼滅効果もあり、昨年7月のタワー入館者数は約2万6000人だったのに対し、今年7月は5万2000人近くに達し約2倍となった。行田市も「絵柄の影響もあり、今年は多くの方に見ていただいている」と喜ぶ。
入館者の中には外国人の姿も見られた。日本のアニメは海外でも人気があるため、同市は「海外でも田んぼアートがニュースになったと聞いた」と言い、「集計を取っているわけではないが、体感では例年より外国人が多いと感じている」と話している。
田んぼアートだけでなく、1階では鬼滅グッズが販売され、一部の館内放送は炭治郎役の声優花江夏樹(34)が担当するなど、ファンにはたまらないコラボだ。たんぼアートは10月中旬まで見ごろとなっている。
◇胡蝶の産土神
東京都北区滝野川にある瀧野川八幡神社。創建は鎌倉時代前期の800年以上前ともいわれ、閑静な住宅街にたたずむ趣のある神社は一見アニメとは無縁に思われる。だが、同神社は今作でも鬼と死闘を繰り広げる人気の女性キャラクター・胡蝶しのぶの産土神(うぶすながみ)とされ、ファンが巡る聖地のひとつだ。境内には胡蝶の身長と同じ151センチの柱が置かれている。胡蝶は滝野川出身とされており、神社が宣伝しているわけではないが、聖地と〝認定〟したファンが6年ほど前から訪れるようになった。
藤井知樹宮司(61)は当初、鬼滅の刃を知らなかったと言い「胡蝶しのぶのコスプレ姿の人が来るようになり聞いたところ『ここは胡蝶しのぶさんが生まれた所ですよね』」と言われたという。神社の4月の朱印モチーフがもともと藤と蝶で、胡蝶を連想させることからファンの思いはさらにヒートアップ。中には鬼滅のキャラクターの縫いぐるみなどを「奉納するので飾ってください」と言うファンもいるという。「胡蝶の生まれた場所が滝野川とされているので、(同神社が)そこの氏神さまだからファンがお参りされているのでは」と語る。
