物価高騰でランチ事情が激変!
「ランチ1,000円時代」の終焉に
かつてランチといえば「安くて美味しくてボリューム満点」な食事だった。
1,000円でお腹も心も満たせる、というランチの価値観は、私たちの日常に当たり前のように存在していた。
サラリーマンの財布にも優しく、主婦のちょっとした贅沢にもなり、学生にも手の届く価格帯のランチ。
しかしながら、今やその「常識」が静かに終わろうとしている。
言うまでもなくその背景には、長引く不況と物価の高騰がある。
原材料費や人件費、さらには光熱費や輸送コストまで
飲食店を経営する上で必要なコストの全てが上がっている中で
料理の価格やクオリティを維持していくことは不可能に近い。
特にコストパフォーマンスを重視してきたランチメニューへのインパクトは大きい。
それでも飲食店は出来るだけ価格を抑えられるように日々努力している。
原材料を見直したり、料理のポーションを変えたり、サラダや小鉢などの副食を減らしたり。
しかしながらそのような取り組みは、結果としてランチの価値や魅力を損ねてしまうことになり
店に「安かろう悪かろう」のイメージを与えてしまうリスクもある。
そうなるとランチ価格の値上げは避けられなくなってくる。
あるいはランチメニューを見直して定食やセットではなく単品にしたり
ランチ営業そのものをやめてしまう場合もある。いずれにしても
これまでのランチとは違うスタイルや内容にならざるを得ない状況になっているのが現状
言うまでもなく、飲食店はビジネスである。しかし多くの飲食店経営者は
儲けよりも客に喜んでもらうことを嬉しいと感じる人たちだ。
よって薄利多売で、可能な限り「安くて美味しい」ものを提供したいと思っているのが本音だが
ビジネスである以上は利益は出さなければ店が続かない。
飲食店がランチを続ける上で取るべき道は2つ。
一つは価格を重視して「1,000円以内で満足出来るランチ」を再構築すること。
前述したようにランチメニューの内容そのものを変えて、セットだったものを単品にして
サイドメニューなどは追加で欲しい人に頼んでもらうスタイルにする。
チェーン店の定食などもそれに近いシステムだ。
もう一つは内容を重視して「1,000円以上でも納得して貰えるランチ」を作ること。
食材にこだわり料理の質を磨き上げる。空間やサービス
体験などを向上させて、1,500円でも2,000円でもコストパフォーマンスが良いと思えるような
料理や体験を提供する。ディナーよりもお得にランチを楽しめる、と思わせることが重要になってくる。
外食の体験は単に「空腹を満たすため」だけではなく、「気分を満たすため」のものである側面もある。
ボリュームではなく時間や空間の心地良さ
そしてその店ならではの体験を求めて外食を利用する人も少なくはない。
価格がいくらであっても「納得できる理由」が存在する店は、客に選ばれて残っていく。。。
