神社で相次ぐペット同伴の参拝禁止
背景に飼い主のマナー違反

ペット同伴の参拝を禁止する神社が相次いでいる。ペット連れの旅行が浸透する中で
境内での排せつといったマナー違反が目立つためだ。
愛犬家らのSNS(ネット交流サービス)で同伴参拝が紹介されている神社でも
近年は禁止に転じているケースがある。初詣や旅行の際は、公式サイトなどで確認したほうがよさそうだ。
神社などはもともと、信仰上の理由から盲導犬などを除き
動物の境内への立ち入りを禁じるケースが一般的だ。明治神宮(東京都)や伊勢神宮(三重県)は
ペットの立ち入りを認めておらず、伊勢神宮は入り口にペットの預かり施設もある。
一方で、あえて禁止を打ち出さず
住民の散歩や観光客の同伴参拝を黙認してきた神社も少なくない。
近年はペットの「家族化」で一緒に旅行やドライブを楽しむ飼い主が急増し、
同伴宿泊できる旅館も増えている。
愛犬などと参拝できる寺社を紹介するサイトがインターネット上にあり
SNSには参拝時に愛犬を写した写真があふれている。
自然に囲まれた境内や、観光地の有名神社にペットの姿が増えた一方
目立つようになったのが排せつや鳴き声など、一部の飼い主のマナー違反だ。このため
受け入れ側も従来の対応を変えざるを得ない施設も出ている。
狼をまつり、愛犬家に人気だった三峯神社(埼玉県)は
2019年にペットの境内立ち入りを禁じ、インターネットで話題になった。
以降も、高原地帯に囲まれた霧島神宮(鹿児島県)や
鎮守の森の中にある水無瀬神宮(大阪府)など、各地の神社が続々とペットの制限に転じた。
24年も、島全体が境内として知られる八百富神社(愛知県)などが禁止を表明した。
多くは、公式サイトやSNSの公式アカウントなどでペットの制限を表明し
境内の入り口などにも看板を設置している。 神社の神職らによると
多いのはふん尿のトラブルで、鳥居が尿で汚されたり
境内にふんが放置されたりといった悪質なケースもあるという。
手水舎のひしゃくで犬に水を飲ませる飼い主や
ペットとの撮影で次の参拝客に迷惑をかけるというクレームも寄せられるようになった。
神社関係者たちは「神聖な場所だと理解してほしい」と口々に訴え
「飼い主の方々にとってペットは家族。多くの飼い主は
マナーを守るし、フンが残っていても私が片付ければ済む話だけど
他の参拝者から苦情がでたら制限せざるを得ない」と悩む神職もいた。
「リードをつけていれば可」(島根県の出雲大社)など
24年12月時点で境内立ち入りを認める神社もまだあるが
参拝客からのクレームが増えれば先行きは不明。
愛犬家には屋外での排せつトレーニングを済ませたり
マナーパンツを着用させたりして外出する人も多い。
こうした人々からは「迷惑行為をする飼い主がいると
愛犬家の行動範囲はますます狭まる」との声も漏れる。

