さらば、やぶれズボン | ネムリノソコ

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おたいらに

今回のテント公演『カデンツァ』の冒頭で、

舞台ツラに設置していた川(海)の上に吊られた

ドンチョウをくぐって、ずぶぬれの僕が現れて

舞台の幕が開いたわけですが、

あの時、履いていた膝の大きく破けたズボンは、

長年、愛用してきたもので、それなりに愛着を

持って履いていたのですが、

周囲の悪評判に耐えがたくなり、

あの出番を持って廃棄すると宣言して、

最後にずぶぬれになってくれたのでした。


一応、未知座小劇場の『明月記』を初めて見たとき(97年)に、

僕が見た回のゲストが演出の闇黒光さんで、

そのときに闇さんが履いていたのが、

やっぱり膝の破れ破れなジーパンで、

それに対するオマージュという意味はあった。


単にお気に入りのズボンを履いてみました、

という、意味もあった。


終わって、バラシのときに、

いざ捨てようと思ったが、不意に惜しくなって、

ハンガーにかけて吊るしてしまった。


しかし、あのズボンを履き続けることに

大反対な河上の手によって、

ズボンは捨てられていたのでした。


もともと捨てるつもりだったので

河上にうらみも怒りもないのだが、

ちょっと、感慨深い気持ちにはなった。

いっそ、自分の手で廃棄されなかったことが、

また特別なことのように思えるほどに、

愛用していたのだ。


みっともなく膝の破けたズボンだったけど。


写真を探してみたが、当然、なかった。

さらば、やぶれズボン。


こんな(アホな)こと書きたくなったのは、

闇さんのブログに触発されたから。

こちらは、まじめなお別れです。

闇黒光/更新記録・編集後記「さらば!初代テントシート!!」