ついに読みました。中山可穂さんの『男役』



樹里さんのインスタなど色々なところで見かける度、読みたいなぁ…と思っていたのですが、地元の書店には無く。



しかし、ある日1人で梅田に行く用事があり、私の最近のお気に入りスポット『阪急古書のまち』へ。すると紀伊國屋書店でその本を発見びっくり



すぐに手に取り、レジへ。そして某カフェで腰を落ち着けます。




徐ろに本を開くと…最初から、「大階段」「燕尾」、そして中盤には「グラフ」「歌劇」「スカイステージ」。
思っていたよりも本格的な「宝塚小説」であることに驚き。
不意に出てきた「らんとむ」には1人で必死に笑いを堪えました。




以下、ネタバレしないように感想書いていきます。(但し本筋には触れるので嫌な方は回避お願いします汗)




まず、主人公の永遠ひかる。愛称はナッツ。研3で突如新公主演に抜擢、しかもそれは伝説的なトップスターの退団公演……。このお話に出てくるような伝説的トップはなかなか存在しませんが、「研3で突如新公主演に抜擢」というのは幾つも顔が浮かびます。



現実とお話がリンクし、一気に物語に引き込まれたところで現れるのが「大劇場の怪人」、「ファントムさん」。いや、これ最初の導入無かったら笑ってますよ。
だって、ファントムにさん付け!でも確かにそういう思考宝塚っぽい!笑



ちなみに「らんとむ」が出てくるのはこの辺です。カフェの一人席で笑い死にそうになりました。




「ファントムさん」は、悲劇の死を遂げた伝説的トップスター。ある心残りの為に今でも大劇場の中をさまよっている亡霊です。




この「ファントムさん」がめちゃくちゃかっこいい…!つい自分の理想の男役さんを投影しながら読んでしまいます。声とか、声とか、声か!!!




そしてもう1人のキーパーソン、主人公ひかるの本役であり退団を間近に控えた伝説的トップスター、如月すみれ。愛称はパッパ。




このパッパさんもまた素敵。今の宝塚の「しきたり」や「慣習」を知っているからこそ、彼女の行動に最初は「おぉ…」と思わされますが、その行いを貫く信条と強さに最後は涙。




そしてこのパッパさんとファントムさんの関係性も素敵なんですよね。
トップの孤独を分かってくれるのはトップだけ、その言葉の意味が改めて分かった気がしました。





そして出てくる登場人物も皆真っ直ぐで暖かくて、本当に魅力的です。
ただ、これヅカファン以外が読んだら芸名と愛称ごっちゃになりそう…とは思いました(笑)
ちなみに私がヅカファンになって変わった事として、海外小説の本名と愛称をすんなり覚え読み進められる、という点があります。
だってジェンヌさんの芸名と愛称、どれだけ膨大な量でも覚えないとやってられないんだもん…。




そんなこんなで(どんなだ)、ひかるに新公主演を奪われた若手スター、花瀬アイリも、新公ヒロイン且つひかるより上級生のひかりも、ひかると共に真摯に舞台に取り組みます。イジメとか嫌がらせとか、「女の園」を描く上であるあるになってる(私は女子校育ちですがイジメを目の当たりにした事はありません)ドロドロは殆ど無し。





ファントムさんの心残りとひかるの心配事が繋がっていたり、100年以上続く劇団だからこそ出来た設定にも感動。


最後だけでなく、要所要所に泣けるポイントがあり、必死に涙を堪えました。





ちなみに後日『娘役』も読みましたが、私としてはすっきりしない終わり方だったなぁ…





『男役』の悲しいけど希望を感じる終わり方が好きです。数年後、宝塚ファンとして色々なことを経験してから読むとまた違う感じ方が出来そう。





ろっさでしたお願い