願い事 41

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「奈々?その願い事が今この状況を創り出しているのかい?」

「そうです。」

「そうすると今は願い事が叶っていないよな?」

「どうしてですか?」

奈々がキョトンとした顔をする。

「だってみんないなくなって一人きりになりたかったんだろう?今は俺がいるじゃないか?それに、以前は京子ちゃんって子もいたんだろう?」

「私の願い事はひとつじゃないもん。それに京子ちゃんも言ってたもん・・」

さっきまでの威厳さえ感じさせる様相は消え失せ幼子のように言う奈々。

「京子ちゃんがなんて言ったんだい?」

「京子ちゃんも、『みんないなくなっちゃえばいい!』って願って気がついたらここにいたって・・。」

「でもその場合京子ちゃんは願いが叶ったとは言えないよな?」

「どうして?」

「だって既に奈々がいたわけだろう?こっちにさ。つまりは『みんないなくなって無かった』わけだ。」

「そうだけど・・・。」

「となると願い事をしたからこうなったって言うのはちょっと無理がないか?」

本当はだいぶ無理があると思っているが控えめに表現する。

「そんなことないもん!初めは京子ちゃんも私も一人っきりだったけど食べ物を探して移動しているうちに暗黒の津波が出てきて、逃げまとっているうちに出逢ったんだもん!」

奈々が興奮して言う。

「わかったわかった、そうだよなこの広い世の中にたった二人じゃあ一人っきりと同じだよな。」

これ以上興奮させて議論が混ぜっ返されるより、少し譲歩した方が良さそうだ。

「そうよ!出逢えたのが奇跡なんだから!」

「ところで京子ちゃんはどうしていなくなっちゃたんだ?」

「・・・・・・・。」

奈々はうつむき黙りこくってしまう。

「ゴメン奈々。言いたくなかったら言わなくても良いよ。いずれ時が来たら話してくれるんだろう?」

今にも泣き出しそうな奈々にそう言うと彼女はコクリと頷いた。

「雅樹さん?」

顔を上げた奈々に涙はなくそれが俺の気持ちをホッとさせる。

「なんだい奈々?」

「雅樹さんも思い出してみて・・京子ちゃんも私も願い事をして眠った後目覚めたらこの状態だったという点で一致していたの・・だから雅樹さんも夕べのことを良く思いだしてみて。」

「わかった思い出してみるよ・・・」

奈々の理論が正しいかどうかはわからない。

だけど奈々も今はここにいない京子ちゃんという子も同じ願い事でこの状態になったという。

俺はそんな願い事をした覚えはないが・・・。

ちょっと意味合い違うけど、2度あることは3度あるとも言うし。

もし俺も同じ願い事をしていて、やはりこの状態に陥ったとしたら因果関係が全くないとも言い切れないかも知れないしな・・・。

俺は夕べのことを思い出そうと目を閉じた。

俺の側に奈々が来る気配を感じた。


続く・・・